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2020-06-30 20:39:38

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診療マル秘裏話  号外Vol.1579 令和1年8月29日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)GTPエネルギーを遮断すると,ガンが抑制される
2)ステロイドに代わる新たな皮膚炎の外用薬開発

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】GTPエネルギーを遮断すると,ガンが抑制される

 
 
 
 
 
 
 
広島大学は8月2日、ガンで著
しく増大するGTP(グアノシン3
リン酸)エネルギーが核小体肥
大を引き起こすことを明らかに
し、またGTP エネルギーを遮断
すると、ガンが抑制されること
もマウスを用いた実験で示した
と発表しました。この研究は、
佐々木敦朗博士(米シンシナテ
ィ大准教授・広島大学客員教授・
慶應義塾大学先端生命科学研究
所特任教授)と広島大学の小藤
智史助教、慶應義塾大学先端生
命科学研究所の曽我朋義教授、
同大学医学部の佐谷秀行教授、
末松誠客員教授ら国際研究チー
ムによるものです。研究成果は、
英学術誌「Nature Cell Biolog
y 」のオンライン速報版に掲載
されています。

多くのガンに共通する変化と
して、核小体の肥大化があげら
れます。細胞には、DNA を包む
核の中に小さな目(核小体)が
あり、その核小体はリボソーム
(蛋白質を作る巨大なマシン)
を作る工場で、多くの分子がリ
ボソームを作るために働いてい
ます。1896年、多くのガンにお
いて核小体が際立って大きくな
っていることが発見されました。
また、その後の研究から、核小
体が大きくなるとリボソームが
多量に作られ、蛋白合成が増加
するため、それによってガン細
胞が異常な速さで増殖すること
が分かっています。しかしなが
ら、ガン細胞がどのようにリボ
ソーム産生工場を拡大している
のか、多くは謎となっていまし
た。今回の研究では、日米英独
の21研究機関が手を結び、最新
の技術を結集することで、この
謎への答えを導きました。

細胞にはATP(アデノシン3リ
ン酸)をはじめさまざまなエネ
ルギーがあります。研究グルー
プは、悪性脳腫瘍、神経膠芽腫
(グリオブラストーマ)のエネ
ルギー産生経路を調べました。
最新の代謝解析技術のより、悪
性脳腫瘍において GTP(グアノ
シン3リン酸 )と呼ばれるエネ
ルギーの産生が著しく増加して
いることを示していました。さ
らに、このGTP 産生の増加は、
脳腫瘍組織をマウスやヒト検体
を用いた多層的解析により、が
ん細胞でイノシン酸脱水素酵素
(IMPDH )の量が増えることに
よって引き起こされるというこ
とをつきとめました。また、遺
伝子の機能とネットワークを推
測する新たな切り口の情報生物
学解析は、IMPDH が核小体に深
く関わっていることを示し、新
しい代謝解析方法を考案するこ
とで、IMPDH により作られたGT
P が核小体でのリボソーム合成
に使用されていることを示す重
要なデータを得ることができま
した。

さらに、リボソーム研究を50
年の間リードしてきたドイツの
German Cancer Research Cente
r のIngrid Grummt 教授らの研
究グループの協力によって、神
経膠芽腫においてIMPDH がリボ
ソーム合成の増大に重要な役割
を果たしていることが初めて証
明されました。IMPDH を薬(ミ
コフェノール酸モフェチル)で
阻害すると、核小体は小さくな
り、グリオブラストーマの増殖
が抑制されることが発見され、
また、グリオブラストーマを移
植したマウスで、IMPDH を抑制
すると腫瘍の進行が遅延し、マ
ウスが延命したということです。
核小体の作用の鍵を握るGTP エ
ネルギー代謝のさらなる研究に
より、新たなガン治療が開発さ
れることが期待されます。

ATPについて解説している動画

です。

 
 


 
 
主要な腫瘍の進展度。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 ステロイドに代わる新たな皮膚炎の外用薬開発

 
 
 
 
 
 
 
京都大学は8月1日、ステロイ
ドに代わる新たな皮膚炎の外用
薬となる可能性を提示する研究
結果を発表しました。この研究
は、同大大学院医学研究科皮膚
科学の櫻井謙次博士課程学生(
現・天理よろづ相談所病院皮膚
科医員)、大日輝記同准教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、米国際医学誌「Jo
urnal of Allergy and Clinica
l Immunology」にオンライン掲
載されています。

現在、ステロイド外用薬はさ
まざまな皮膚炎の治療に用いら
れています。皮膚科での治療に
は欠かせない薬である一方、皮
膚が乾燥したり、吹き出物がで
きやすくなったりする副作用が
知られています。そのため、特
に経過の長い皮膚炎治療のため
に、新しい外用薬の開発が期待
されています。

乾癬は、表面に銀白色の角質
がつみ重なった赤い発疹が全身
のあちこちにできる慢性の皮膚
疾患です。日本での有病率は1,
000人に2~5人とされています。
素因のある患者さんで、刺激を
受けやすい場所や加齢で発症し
やすくなることが知られていま
すが、その理由は明らかにされ
ていません。

新しい治療が登場する中、外
用治療は現在でも基本的な治療
のひとつですが、特に経過の長
い乾癬では、ステロイド外用治
療中に生じる副作用が問題視さ
れていました。

研究グループは2018年に、表
皮細胞の中の「TRAF6 」という
物質が、乾癬の発症にも持続に
も必須の物質であることを報告
していました。そこで今回、TR
AF6 によって活性化される細胞
内の物質を調べ、p38-MAP キナ
ーゼという酵素に着目しました。
p38-MAP キナーゼは細胞の中に
ある酵素で、乾癬の病変部の表
皮細胞で活性化していること、
また、外からの刺激や加齢によ
って皮膚で活性化しやすくなる
ことが知られていることから、
乾癬が発症するのは、皮膚でp3
8-MAP キナーゼが活性化するた
めではないかと推察し、実験を
行いました。

まず、マウスの耳にアニソマ
イシンというp38-MAP キナーゼ
の活性化薬を1日1回塗布しまし
た。5日後までに、乾癬に似た
症状を実験的に生じさせること
に成功しました。ここに、p38-
MAP キナーゼ阻害薬をあわせて
塗ると、乾癬を発症しませんで
した。さらに、乾癬の患者さん
10人から病変部の皮膚組織を一
部採取し、p38-MAP キナーゼの
阻害薬を作用させると、ほぼ全
員の皮膚組織で炎症性物質の産
生が抑えられたということです。

これらの研究成果から、乾癬
の発症には皮膚でのp38-MAP キ
ナーゼの活性化が十分条件とな
ること、また、素因や、外から
の刺激、加齢による発症にも関
与している可能性が示されまし
た。したがって、p38-MAP キナ
ーゼを抑える外用薬の開発が、
乾癬を含む皮膚炎の治療につな
がるとして、今後の研究に期待
が寄せられています。

研究グループは、「p38-MAP
キナーゼ阻害剤は、内服薬での
臨床試験で十分な効果が得られ
なかったことから、開発が中断
された経緯がある。現在、本研
究グループは、外用薬としての
リポジショニングのため、乾癬
以外の皮膚疾患も対象とするこ
とを念頭に、課題の克服および
外用薬の最適化の可能性につい
て研究開発に取り組んでいる」
と、述べています。

乾癬の原因と症状について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
敬意を払いつつ経緯を説明す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
広島大学が8月2日、ガンで著
しく増大するGTP(グアノシン3
リン酸)エネルギーが核小体肥
大を引き起こすことを明らかに
し、またGTP エネルギーを遮断
すると、ガンが抑制されること
もマウスを用いた実験で示した
と発表したのは偉大な業績です。
多くのガンに共通する変化とし
て、核小体の肥大化があげられ
ていて、細胞には、DNA を包む
核の中に小さな目(核小体)が
あり、その核小体はリボソーム
(蛋白質を作る巨大なマシン)
を作る工場で、多くの分子がリ
ボソームを作るために働いてい
るということが知られています。
1896年、多くのガンにおいて核
小体が際立って大きくなってい
ることが発見されました。また、
その後の研究から、核小体が大
きくなるとリボソームが多量に
作られ、蛋白合成が増加するた
め、それによってガン細胞が異
常な速さで増殖するので、核小
体の作用の鍵を握るGTP エネル
ギー代謝のさらなる研究により、
新たなガン治療が開発されるこ
とを期待したいと思います。
京都大学は8月1日、ステロイ
ドに代わる新たな皮膚炎の外用
薬となる可能性を提示する研究
結果を発表したのは素晴らしい
業績です。 ただこの代用薬は、
乾癬に対しては、効果が保証さ
れているようですが、その他の
原因で起こる皮膚炎について、
ステロイドのようにオールマイ
ティに使えるかどうかは、分か
りません。 作用機序的に乾癬
でないと皮膚の炎症を抑えるこ
とができないのではないかと推
測されます。乾癬の日本での有
病率は1000人に2~5人とされて
いて、治療方法も完全に確立さ
れている訳では無いので、乾癬
に対して、効果が保証されてい
るならば、これは凄い皮膚外用
薬となる気がします。内服薬と
して効果が今一でも外用薬とし
て再生するリポジショニングは
コストを余りかけずに効果的な
治療法を発掘する良い手法であ
ることが証明されたと受け止め
ています。あと既存の治療法と
の併用効果についても調べて頂
きたいものです。例えばビオチ
ンの内服や、ビタミンD3製剤の
塗布薬との併用についてです。

照明が効果的であることが、
証明された。       笑

 
 
 
 
 
 
 
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