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2020-05-25 20:40:43

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診療マル秘裏話  号外Vol.1548 令和1年7月23日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)長寿遺伝子サーチュインが、細胞膜の破れた穴を塞ぐ
2)天然代謝産物ベタイン が統合失調症新治療薬候補

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】長寿遺伝子サーチュインが、細胞膜の破れた穴を塞ぐ

 
 
 
 
 
 
 
札幌医科大学は、6月27日、
長寿遺伝子サーチュイン(SIRT
1 )が、細胞膜の破れた穴を塞
ぐ働きをすることを突き止めた
と発表しました。 この研究は、
同大医学部薬理学講座の堀尾
嘉幸教授らの研究グループによ
るものです。 この研究成果は、
国際科学雑誌「PLoS ONE」オン
ライン版に掲載されています。
SIRT1 は、酵母や、線虫などで
寿命を延ばす働きをするSir2(
長寿遺伝子)の仲間で、ヒトで
も細胞の生存を促す働きがあり
ます。SIRT1 は体のいろいろな
蛋白質を脱アセチル化すること
によって機能を調節しています。
これまでに、研究グループはポ
リフェノールの1つであるレス
ベラトロールがSIRT1 活性化を
介して筋ジストロフィーマウス
の筋力を増強し、持久力を増し、
筋の崩壊を抑えることを示して
きました。また、他の研究グル
ープもSIRT1 活性化剤に筋ジス
トロフィーを改善させる働きが
あることを報告しています。し
かし、なぜ、SIRT1 がそのよう
な効果をもつのかについては不
明でした。今回研究グループは、
SIRT1 を骨格筋のみでノックア
ウトしたマウスを用いて、SIRT
1 が骨格筋の筋力や、持久力の
維持に必要で、SIRT1 がなくな
ると筋が壊れやすくなることを
見出しました。

これまで同研究グループは、SI
RT1 が細胞膜の形を変える作用
をもつことを示し、筋肉ではSI
RT1 が細胞膜の直下に多いこと
も併せて、SIRT1 が直接に細胞
膜の損傷と修復のメカニズムに
関与するのではないかと考えま
した。 そこで、動画で生きた
細胞の細胞膜の損傷・修復の過
程を顕微鏡観察する仕組みを作
って観察した所、正常な細胞や
筋では膜が損傷されると穴の直
下に細胞内べジクル(小胞)が
集まり、穴をドーム状の膜構造
物で覆い、数分以内に穴は閉じ
ました。ところが、SIRT1 を働
かなくすると、細胞内べジクル
が集まらず、ドーム状の構造物
は形成されず、穴も閉じないこ
とが判明しました。

細胞膜に開いた穴を修復する機
構はヒトの体の細胞すべてに備
わっており、特に、収縮と弛緩
が繰り返される筋肉では膜は絶
えず破断されるため膜修復機構
は筋の維持にきわめて重要です。
しかし、膜の修復についての研
究は非常に少なく、膜修復に関
与する蛋白質の遺伝的な欠損が
筋ジストロフィーの原因となる
ことが明らかにされていたもの
の、その調節機構についてはほ
とんど分かっていませんでした。

今回の研究により、SIRT1 が穴
の修復に必要であることが初め
て明らかにされ、穴の修復に調
節機構がある可能性が示されま
した。また、SIRT1 を活性化さ
せると筋ジストロフィーが改善
するメカニズムに膜修復が関与
している可能性も示唆されまし
た。SIRT1 は、いくつもの蛋白
質の調節を介して細胞の生存を
図ることが知られていましたが、
今回の研究で初めてSIRT1 によ
る細胞生存メカニズムの1つに
膜修復があることが分かりまし
た。研究グループは「今後はど
のようにSIRT1 が膜修復に関与
するかを詳細に調べ、まだ明ら
かにされていない膜修復機構を
解明することに貢献したい」と、
述べています。

サーチュイン遺伝子をオンにす

る食べ物について解説している

動画です。

 
 


 
 
膜修復に、幕を下ろさせない
遺伝子。笑

 
 
 
 
 
 
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2】 天然代謝産物ベタイン が統合失調症新治療薬候補

 
 
 
 
 
 
理化学研究所は6月27日、天
然代謝産物ベタイン(トリメチ
ルグリシン)が統合失調症の新
しい治療薬候補になり得ること
を発見したと発表しました。こ
の研究は、理研脳神経科学研究
センター分子精神遺伝研究チー
ムの大西哲生副チームリーダー、
シャビーシュ・バラン研究員、
吉川武男チームリーダーらの共
同研究グループによるものです。
研究結果は、英国の科学雑誌「
EBioMedicine」のオンライン版
に同日付で掲載されました。現
在、統合失調症の治療薬のほと
んどは、神経伝達物質の受容体
をブロックする薬です。しかし、
治療抵抗性の患者さんは3割に
のぼるという報告があり、副作
用に悩まされる患者さんも多い
とされています。そのため、こ
れまでの薬とは作用機序の異な
る新しい有効な治療薬の開発が
喫緊の課題となっています。ま
た、薬ごとに効く患者さんを選
別できるバイオマーカーの開発
も、プレシジョンメディシンの
流れの中で求められています。

一方、ベタイン(トリメチルグ
リシン)は、植物や海産物など
に広く存在するため食事からも
摂取できますが、脳を含む体の
細胞で合成されている天然代謝
産物です。体内ではアミノ酸で
あるメチオニンやホモシステイ
ンの代謝に関わるメチオニンー
ホモシステイン回路で機能を果
たしています。2014年に、統合
失調症患者さんの血液中の代謝
産物を網羅的に測定した結果、
初発の患者の一部では、健常者
と比べてベタイン濃度が低下し
ているという研究が、日本から
報告されました。 そこで共同
研究グループは、この報告に基
づき、ベタインを補充すれば統
合失調症の治療薬になるのでは
ないかと考えました。研究グル
ープはまず、ベタインの脳内で
の代謝を詳しく調べるために、
ベタイン合成酵素をコードして
いるChdh遺伝子のノックアウト
マウスを作製しました。解析の
結果、このマウスは抑うつ傾向
を示し、その脳内遺伝子発現パ
ターンは統合失調症患者さんの
死後脳で報告されている所見と
重なることが判明しました。ま
た、同ノックアウトマウスは、
脳内のベタイン濃度がほぼゼロ
で、ベタインを飲み水で投与す
るとベタイン濃度が回復しまし
た。このことから、通常は脳内
のベタインは、体内で合成した
もので賄われていること、また
経口的にベタインを投与すると
脳に移行し、脳内ベタイン濃度
が上昇することが分かりました。

次に、ベタインを体外から補充
した場合、向精神作用を示すか
どうかを調べた。覚醒剤である
メタンフェタミン(MAP )は、
ヒトに慢性投与すると統合失調
症に類似の幻覚妄想状態を引き
起こします。また、MAP をマウ
スに反復投与すると運動量が増
加します(行動感作)。ある遺
伝的背景をもつB6NマウスにMAP
を反復投与したところ、明らか
な行動感作が生じ、その行動感
作はベタインを投与すると抑制
されました。一方、C3H という
別の遺伝的背景をもつマウスで
は、行動感作がB6N マウスより
も弱く、ベタインによる行動感
作の抑制作用は認められません
でした。これらの結果と統合失
調症の遺伝的背景はさまざまで
あることを合わせて勘案すると、
ベタインは統合失調症の一部の
患者さんには効果がある可能性
が考えられました。

さらに、他の幻覚剤であるフェ
ンサイクリジン(PCP )を検討
しました。PCP は、ヒトで慢性
投与すると幻覚・妄想などの陽
性症状ばかりでなく、意欲減退、
感情の平板化などの陰性症状類
似の症状を引き起こします。PC
P をマウスに反復投与した所、
認知機能を評価する新規物体認
識テストの成績が不良となりま
したが、ベタインの併用投与で
この障害を完全に防ぐことがで
きました。新規物体認識テスト
の成績不良は、記憶障害や古い
ものに執着する性質(陰性症状)
を表していると考えられていま
す。以上の動物実験のほかに、
福島ブレインバンク、新潟ブレ
インバンクから供与されたヒト
死後脳を解析した所、ベタイン
濃度が低下し、酸化ストレスの
一種であるカルボニルストレス
が亢進している統合失調症の一
群が存在する事が判明しました。

そこで、ゲノム編集技術を用い
て、カルボニルストレス解消の
働きをする酵素GLO1の遺伝子を
破壊したヒト由来iPS 細胞を作
製しました。解析の結果、この
iPS 細胞では、実際にカルボニ
ルストレスが亢進しており、ベ
タイン濃度が低下していること
が確認されました。酸化ストレ
ス状態を改善するために、ベタ
インが過剰に消費されたと考え
られます。GLO1の破壊では、ベ
タイン濃度の低下に加えて、メ
チオニン-ホモシステイン回路
の回転率に関係のある、メチル
化指数も低下していました。一
方、このiPS 細胞にベタインを
添加した所、カルボニルストレ
ス状態は改善されました。以上
のことからベタインの作用機序
の一部として抗酸化ストレス作
用が考えられ、このことは、上
記のMAP 投与マウス、PCP 投与
マウスでも確かめられました。
一般に、向精神薬は効果がある
患者さんとない患者さんが存在
します。ベタインの場合も、前
述のように、動物実験から遺伝
的背景によって効果の出方が異
なることが明らかになりました。
そのため、ベタインをヒトで用
いる場合、あらかじめ薬効の見
られる可能性のある患者さんを
バイオマーカーで見分けられる
ことが望ましいと思われます。
そこで、ベタイン合成酵素遺伝
子であるCHDHの脳内発現量を予
測する一塩基多型(SNV )につ
いて、GTEx(Genotype-Tissue
Expression)データベースで候
補を絞り、日本人死後脳で調べ
ました。その結果、rs35518479
というSNV が、CHDH遺伝子の発
現量ばかりでなく、メチル化指
数にも影響を与えることが分か
りました。この結果から、rs35
518479を調べることで脳内ベタ
イン代謝の程度が予測でき、ベ
タインは特にG/G(グアニン/グ
アニン)という遺伝子型を持つ
患者さんに効果が見られる可能
性があると考えられました。

これまで、統合失調症の治療が
困難だった理由には、既存の治
療薬が奏功しない難治群が存在
すること、新しい薬を開発する
原理が不明なため新規治療薬の
開発が進まないこと、既存薬で
もどの薬が効くかは順番に試さ
なければならないため、薬の作
用を予測するバイオマーカーが
必要であることなどがありまし
た。今回の研究成果から、全く
新しい作用機序を持つベタイン
は、臨床で統合失調症の治療薬
としての効果を試験する価値が
あると期待できます。またその
際、rs35518479というバイオマ
ーカーの有効性を検討すること
には意義があると考えられます。
なお、ベタインは今回の動物実
験でも副作用は見られず、先天
性ホモシスチン尿症に対する医
薬品としてすでに承認されてい
ることから、安全性に関しては
問題がないと考えられると研究
グループは述べています。

統合失調症の治療薬の最新テク

ノロジーについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 
拳闘の試合で健闘することを
検討する。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
札幌医科大学は、6月27日、
長寿遺伝子サーチュイン(SIRT
1 )が、細胞膜の破れた穴を塞
ぐ働きをすることを突き止めた
と発表したのは偉大な業績です。
長寿遺伝子サーチュインは遺伝
子の修復に関わることは、以前
から知られていましたが、細胞
膜の破れた穴を塞ぐなどの作用
は、知られていなかったと記憶
しています。長寿遺伝子サーチ
ュインを活性化する方法として
断食をする、カロリー制限をす
る、レスベラトロールやMNM 等
の長寿遺伝子サーチュイン活性
化因子を摂取するなどの方法が
あります。遺伝子の修復に加え
て、細胞膜の破れた穴を塞ぐと
するならば、これらの方法で、
長寿遺伝子サーチュインを活性
化することは、若返りに道を開
くと考えられ、整合性があると
感じました。
理化学研究所は6月27日、天
然代謝産物ベタイン(トリメチ
ルグリシン)が統合失調症の新
しい治療薬候補になり得ること
を発見したと発表したのは素晴
らしい業績です。しかも、ベタ
インは先天性ホモシスチン尿症
に対する医薬品として、すでに
承認されていることから、安全
性に関しては問題がないと考え
られるので有用な治療薬として
早い段階の臨床研究や臨床試験
が望まれます。今回の研究成果
から、全く新しい作用機序を持
つベタインは、臨床で統合失調
症の治療薬としての効果を試験
する価値があると期待できます。
またその際、rs35518479という
バイオマーカーの有効性を検討
することには意義があると考え
られます。

勝ちに価値を見出す。笑

 
 
 
 
 
 
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(イジニイワト)

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