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2020-03-22 22:03:43

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診療マル秘裏話  号外Vol.1493 令和1年5月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)ME/CFSやFMの神経障害性疼痛はミクログリアによる
2)白癬菌の治療薬が胆道ガンの新治療薬の可能性

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】ME/CFSやFMの神経障害性疼痛はミクログリアによる

 
 
 
 
 
 
 
名古屋大学は4月22日、筋痛
性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(
ME/CFS)や、線維筋痛症(FM)
でみられる異常な痛みの原因の
ひとつとして、通常では意識し
ない、固有(深部)感覚の持続
的で過剰な興奮が脊髄内の反射
弓に沿ってミクログリアを活性
化させ、これにより慢性的に痛
みが生じていることを、モデル
動物を用いた実験で明らかにし
たと発表しました。この研究は、
同大大学院医学系研究科 機能
組織学分野の木山博資教授と愛
知医科大学医学部の安井正佐也
助教の研究グループが、九州大
学大学院薬学研究院の井上和秀
教授らと共同で行ったものです。
研究成果は「Journal of Neuro
inflammation」に掲載されてい
ます。 ME/CFSやFMは、身体に
炎症や損傷などの明らかな原因
がないにもかかわらず、異常な
慢性的筋痛や、過度の疲労感が
生じる原因不明の病気です。そ
のため、多くの患者さんは痛み
や強度の疲労感により、日常生
活に困難を感じながら生活して
います。脳や脊髄の一部に炎症
の痕跡が見られること、脳やホ
ルモン分泌の中枢である下垂体
を介した恒常性の維持機構の仕
組みが崩れていることが明らか
になりつつあります。

研究グループは以前、ME/CFSの
モデルラットを用いて、脊髄の
後角に活性化したミクログリア
が増殖し集まっている事を発見
し、ミクログリアの活性化を抑
制する薬剤(ミノサイクリン)
を髄腔内に投与した所、動物の
異常な痛みは抑制されたことか
ら、ストレスによって生じる原
因不明の異常な痛みは、脊髄の
ミクログリアが活性化すること
によって生じている可能性を報
告しました。今回研究グループ
は、このストレスモデルで生じ
ている姿勢を維持する筋の持続
的な緊張に着目して解析を行い
ました。まず、慢性疲労モデル
としてラットを水深約1.5cm の
ケージに入れ、ラットに複合的
なストレスを与えました。ラッ
トは後肢で体を支え、壁に寄り
かかって深い睡眠をとることが
できますが、睡眠障害やストレ
ス反応性の低下、通常は痛みを
もたらさない触覚刺激を痛みと
感じるアロディニア、下肢の筋
肉を押すと圧痛を感じるなどの
変化が生じました。

一方、ラットの下肢の皮膚や筋
肉、および血液検査で、損傷や
炎症を示す遺伝子の発現は全く
見られませんでした。神経の過
活動のマーカーとなる転写因子
「ATF3」の発現を指標に解析す
ると、体性感覚を脊髄に伝える
脊髄神経節(後根神経節)の中
の固有感覚を伝える神経細胞で、
最初に転写因子ATF3の発現を観
察しました。これに続き、この
固有感覚が存在する脊髄後角の
内側部にミクログリアが活性化
して集積している像を観察しま
した。さらに、刺激が継続する
と、脊髄の腹側(前角)にある
一部の運動ニューロンの周りに
ミクログリアが集積してきまし
た。この運動ニューロンも、AT
F3が陽性となり、過活動が生じ
ていることが分かったという事
です。

この過活動を起こしている運動
ニューロンは、ふくらはぎの代
表的な抗重力筋であるヒラメ筋
に投射していることが判明し、
反射弓に沿って神経の過活動と
ともに、ミクログリアの活性化
が生じていることが分かりまし
た。ヒラメ筋の緊張を抑制する
ために、足の関節を固定すると、
同様の痛みがみられなくなった
ことから、一部の筋の過緊張が
痛みを引き起こしていることが
明らかになりました。ME/CFSと
FMは、過敏性腸症候群(IBS )
や、心的外傷後ストレス障害(
PTSD)などと共に、機能的身体
症候群(FSS)に含まれ、FSSで
は痛みをはじめ、共通の症状が
見られます。引金は疾患ごとに
異なりますが、無意識の筋の過
緊張が持続することが、これら
の疾患での慢性痛に至る共通の
メカニズムである可能性があり
ます。

研究グループは、「FFS などの
患者の疼痛を和らげる治療には、
脳や脊髄に存在するミクログリ
アを標的とすることが有効であ
るほか、一部の筋の過緊張を解
除し、固有感覚ニューロンの活
動性抑制を標的とする新たな治
療法が考えられます。 今後は、
ヒトでの実証と新たな治療標的
に対する効果的な治療法の開発
が期待される」と述べています。

ミクログリア細胞について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
間隔の感覚を研ぎ澄ます。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 白癬菌の治療薬が胆道ガンの新治療薬の可能性

 
 
 
 
 
 
慶應義塾大学は4月24日、白
癬菌(水虫)の治療薬であるア
モロルフィンおよびフェンチコ
ナゾールが、胆道ガンの新たな
治療薬となる可能性を見出した
と発表しました。 この研究は、
同大薬学部薬物治療学講座の齋
藤義正准教授らの研究グループ
によるものです。 研究成果は、
国際学術誌「Cell Reports」電
子版に4月23日付で掲載されま
した。

胆道ガンは難治性ガンの代表で
すが、現在は胆道ガンに対する
有効なバイオマーカーが存在し
ません。そのため、早期発見が
難しく、外科的切除による治療
が困難な症例に対しては、抗腫
瘍薬による化学療法が行われて
います。胆道ガンに対する化学
療法には、ゲムシタビン(「ジ
ェムザール(R)」) やプラチナ
製剤であるシスプラチンを含む
レジメン(プロトコール)が標
準治療となっていますが、その
成績は十分ではなく、化学療法
による根治はほとんど望めない
のが現状です。また、これらの
抗腫瘍薬は、骨髄抑制、消化管
障害、脱毛、腎機能障害、肝機
能障害などの細胞毒性が強く、
重篤な副作用が患者さんのQOL
を著しく低下させています。研
究グループは、新たな胆道ガン
治療薬を見つけるためにまず、
肝内胆管ガン、胆嚢ガンおよび
ファーター乳頭部に発生した神
経内分泌ガンの患者さんより提
供されたガン組織を用いてオル
ガノイドを樹立し、1年以上に
わたり安定的に培養・維持する
ことに成功しました。これらの
患者さん由来の胆道ガンオルガ
ノイドは、生体内の腫瘍と組織
学的にも機能的にも極めて高い
類似性を示しました。そこで、
これらの胆道ガンオルガノイド
を用いて、遺伝子変異解析およ
び遺伝子発現解析を実施し、非
ガン組織由来のオルガノイドに
比べて特に発現が上昇している
遺伝子や低下している遺伝子を
特定しました。また、分子標的
治療薬のエルロチニブを投与し
た場合に、増殖が抑制される胆
道ガンオルガノイド(感受性あ
り)と増殖が抑制されない胆道
ガンオルガノイド(感受性なし)
が存在することが明らかとなり、
胆道ガンオルガノイドにおいて
エルロチニブに対する感受性あ
り、なしで発現が大きく異なる
遺伝子についても特定しました。

さらに、The Cancer Genome At
las に公開されている臨床デー
タベースを用いて、これらの遺
伝子発現と胆道ガン患者さんの
予後(生存期間)を解析したと
ころ、SOX2、KLK6、CPB2遺伝子
の発現と患者さんの予後が統計
学的に有意に相関しており、こ
の3つの遺伝子が高発現してい
る患者さんの予後が特に不良で
あることが判明しました。つま
り、SOX2、KLK6、CPB2遺伝子の
発現は、胆道ガン患者の予後を
予測する新たなバイオマーカー
として期待できます。 最後に
研究グループは、樹立した胆道
ガンオルガノイドを用いて東京
大学創薬機構から提供された既
存薬ライブラリーを用いて薬物
スクリーニングを実施しました。
予想通り、ヒット化合物のほと
んどがゲムシタビンをはじめと
する抗腫瘍薬でしたが、これま
でに抗腫瘍作用が報告されてい
ないアモロルフィンとフェンチ
コナゾールもヒットしました。
そこで、樹立した複数の胆道が
んオルガノイドを用いて検証し
たところ、両剤ともに胆道ガン
オルガノイドの増殖を抑制する
ことが明らかとなりました。特
にアモロルフィンはゲムシタビ
ンと同等の増殖抑制効果を示し、
正常胆管細胞に対しては、ほと
んど毒性を示さなかったという
ことです。

両剤は、白癬菌(水虫)等の真
菌感染症に対する治療薬として
市販されており、既に安全性が
確認されています。ドラッグリ
ポジショニングにより、本来は
抗真菌薬である両剤が、胆道が
んを最小限の副作用で効率的に
抑制する新規予防・治療薬の候
補になることが期待されます。
今後、臨床試験の実施を目指し、
さらに基礎的な研究を継続する
予定と、研究グループは述べて
います。

ドラッグリポジショニングにつ

いて解説している動画です。特

に、新型コロナウイルスについ

て解説されています。

 
 


 
 
師範の愛用物が市販されてい
た。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症
候群(ME/CFS)や、線維筋痛症
(FM)でみられる異常な痛みの
原因のひとつとして、通常では
意識しない、固有(深部)感覚
の持続的で過剰な興奮が脊髄内
の反射弓に沿ってミクログリア
を活性化させ、これにより慢性
的に痛みが生じていることを、
モデル動物を用いた実験で明ら
かにしたと発表したのは素晴ら
しい業績です。 しかしながら、
以前のメルマガで発表した様に
このミクログリアの活性化は、
ミノマイシンで抑制されること
は、かなり前から知られていて、
私は、神経障害性疼痛の治療に
ミノマイシンを使っておりまし
た。 その理論が正しいことが
実証されたのは、本当に喜ばし
いことです。 ミノマイシンが
早く筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労
症候群(ME/CFS)や、線維筋痛
症(FM)でみられる異常な痛み
の治療に臨床の現場で使われる
ことを期待したいと思います。
慶應義塾大学は4月24日、白
癬菌(水虫)の治療薬であるア
モロルフィンおよびフェンチコ
ナゾールが、胆道ガンの新たな
治療薬となる可能性を見出した
と発表したのは素晴らしい業績
です。胆道ガンは難治性ガンの
代表ですが、現在は胆道ガンに
対する有効なバイオマーカーが
存在せず。そのため早期発見が
難しく、外科的切除による治療
が困難な症例に対しては、抗腫
瘍薬による化学療法が行われて
いて胆道ガンに対する化学療法
には、ゲムシタビン(「ジェム
ザール(R)」) やプラチナ製剤
であるシスプラチンを含むレジ
メン(プロトコール)が標準治
療となっていますが、その成績
は十分ではなく、化学療法によ
る根治はほとんど望めないのが
現状ということで、将来、根治
が期待できる治療薬が発見され
たのは、本当に素晴らしいこと
です。

外科的切除による治療が困難
な症例に奨励される治療薬。笑

 
 
 
 
 
 
 
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