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2020-02-28 00:10:40

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診療マル秘裏話  号外Vol.1472 平成31年4月26日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)力学的負荷が変形性関節症惹起する分子メカニズム
2)根治切除不能・転移性のメラノーマ 腫瘍溶解性ウイルス

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 力学的負荷が変形性関節症惹起する分子メカニズム

 
 
 
 
 
 
 
東京大学は、3月29日、軟骨
細胞において強い負荷によって
発現が変化する遺伝子をスクリ
ーニングし、力学的負荷が変形
性関節症を引き起こす分子メカ
ニズムを新たに解明したと発表
しました。この研究は、同大大
学院医学系研究科 外科学専攻
整形外科学の張成虎大学院生(
研究当時)、同大医学部附属病
院整形外科・脊椎外科齋藤琢准
教授、田中栄教授らのグループ
によるものです。 研究成果は、
英国科学誌「Nature Communica
tions 」オンライン版に同日付
で発表されました。

変形性関節症(OA)は加齢と
ともに発症・進行する、関節の
変性疾患ですが、進行を止める
治療薬はいまだに存在しない上
に、鎮痛剤による痛みのコント
ロールが十分でない患者さんも
多いとされています。肥満、重
労働、関節の外傷など、過剰な
力学的負荷が関節軟骨を変性さ
せることは古くから知られてい
たものの、その分子メカニズム
は分かっていませんでした。

今回研究グループは、細胞や
組織に対して、周期的に力学的
負荷をかける装置を開発しまし
た。マウスの関節軟骨細胞に強
い力学的負荷をかけて、発現が
大きく変化する遺伝子をマイク
ロアレイで探索しました。探索
を進める中で、研究グループは
分泌蛋白質「Gremlin-1 」に注
目しました。Gremlin-1はBMPの
作用を抑制する物質(アンタゴ
ニスト)として知られ、四肢の
発生に重要な役割を果たすこと
は報告されていましたが、関節
軟骨における作用は知られてい
ませんでした。

そこで、関節軟骨での発現を
調べた所、Gremlin-1 は軟骨の
変性とともに関節軟骨深層での
発現が著しく増強する事が判明
しました。また、培養軟骨細胞
や培養軟骨組織にGremlin-1 を
加えた所、添加量依存的な変性
が見られた上に、軟骨基質分解
酵素の発現増加と、軟骨基質自
体の発現減少が確認されました。
このようなGremlin-1 の軟骨に
対する作用を、生体レベルでも
確認するため、遺伝子操作で骨
格成長後のマウスにおいてGrem
lin-1 を無効化したところ、OA
の進行は有意に抑制され、Grem
lin-1 の中和抗体をマウスの膝
関節内に注射した場合でも、OA
の進行は同様に有意に抑制され
たということです。

更に、培養細胞を用いた解析
から、軟骨細胞にかかる力学的
負荷が、Gremlin-1 を誘導する
経路として、メカノセンサーと
しての役割が知られるRac1が活
性化して活性酸素の産生増加を
促し、それによってNF-κBが活
性化されることによりGremlin-
1 の転写が誘導される事を解明
しました。また、産生され放出
されたGremlin-1 は、VEGF受容
体に作用し、NF-κBを活性化す
ることによって下流のOAの制御
転写因子HIF-2α を誘導し軟骨
を変性に至らしめることも証明
しました。 BMP は軟骨の基質
産生を促し、関節に保護的に作
用することが知られていますが、
Gremlin-1はBMPの基質産生作用
を阻害することも明らかとなり
ました。

今回の研究により、これまで
謎に包まれていた、過剰な力学
的負荷がOAを引き起こす仕組み
の全体像が初めて解明され研究
グループは、今後これらを踏ま
えた創薬研究を加速させていく
予定だとしています。

変形性関節症について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
最近の細菌は、仮足を加速さ
せる。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 根治切除不能・転移性のメラノーマ 腫瘍溶解性ウイルス

 
 
 
 
 
 
 
タカラバイオは、腫瘍溶解性
ウイルス「C-REV」(旧称
HF10)の根治切除不能・転移
性メラノーマを適応症とした、
再生医療等製品の製造販売承認
申請を行ったと発表しました。
今回の申請は既存治療薬が無効
または再発のメラノーマ患者さ
んを対象に実施されたイピリム
マブとの併用療法臨床試験結果
に基づくものです。適応症につ
いてはタカラバイオが主導的に
開発を実施しました。2016年12
月には大塚製薬と日本国内にお
けるC-REVに関する独占的
ライセンス契約を結んでおり、
承認取得後は、タカラバイオが
製造、大塚製薬が販売を担いま
す。

イピリムマブ(Ipilimumab)は
CTLA-4を標的としたモノクロー
ナル抗体で、免疫系の抑制解除
による抗ガン作用を狙った医薬品
です。 商品名ヤーボイ。 開発
コードMDX-010、MDX-101。細胞
傷害性T細胞(CTL)はガン細胞
を認識し破壊する能力を持ちま
すが、それを抑制するメカニズ
ムが存在します。イピリムマブ
はそのメカニズムを解除して、
CTL の機能を発揮させます。イ
ピリムマブは皮膚ガンの一種で
ある悪性黒色腫の治療薬として
2011年に米国FDA に承認されま
した。欧州では2011年7 月に、
英国で2012年11月に、日本では
2015年7 月に承認を取得しまし
た。非小細胞肺ガン(NSCLC )お
よび小細胞肺ガン(SCLC)、膀胱
ガン、転移性ホルモン治療抵抗
性前立腺ガンに対する治験が進
行中です。

C-REV (旧称HF10)は、単純ヘル
ペスウイルス1型(HSV-1)の弱
毒化株で、ガン局所に注入する
ことにより顕著な抗腫瘍作用を
示します。このようなウイルス
は「腫瘍溶解性ウイルス」と呼
ばれています。腫瘍溶解性ウイ
ルスは、正常細胞内でほとんど
増殖しませんが、ガン細胞内で
は高い増殖能を示し、ガン細胞
を特異的に殺傷します。多くの
腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子の
組換えや外来遺伝子の挿入を行
っていますが、C-REV は遺伝子
工学的改変を一切行っていない
自然変異型のウイルスのため、
遺伝子組換え生物等の使用等に
関する規制の対象となりません。

ガンウイルス療法について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
帰省中に道路交通規制に出く
わす。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
軟骨細胞において強い負荷に
よって発現が変化する遺伝子を
スクリーニングし、力学的負荷
が、変形性関節症を引き起こす
分子メカニズムを新たに解明し
たと発表したというのは偉大な
業績です。変形性関節症(OA)
は加齢とともに発症・進行する、
関節の変性疾患ですが、進行を
止める治療薬はいまだに存在し
ない上に、鎮痛剤による痛みの
コントロールが十分でない患者
さんも多いとされていて、肥満、
重労働、関節の外傷等、過剰な
力学的負荷が関節軟骨を変性さ
せることは古くから知られてい
たものの、その分子メカニズム
は分かっていなかったという事
ですから、大きな壁をブレイク
スルーした大発見と言っても、
過言ではありません。更に遺伝
子操作で骨格成長後のマウスに
おいてGremlin-1 を無効化した
ところ、OAの進行は有意に抑制
され、Gremlin-1 の中和抗体を
マウスの膝関節内に注射した場
合でも、OAの進行は同様に有意
に抑制されたということから、
治療法のヒントまで得られてい
るという所が凄いと思いました。
腫瘍溶解性ウイルス「C-R
EV」(旧称HF10)の根治切
除不能・転移性メラノーマを適
応症とした、再生医療等製品の
製造販売承認申請を行ったと発
表したのは、画期的な企画と言
えるでしょう。腫瘍溶解性ウイ
ルスは、正常細胞内でほとんど
増殖しませんが、ガン細胞内で
は高い増殖能を示し、ガン細胞
を特異的に殺傷します。多くの
腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子の
組換えや外来遺伝子の挿入を行
っていますが、C-REV は遺伝子
工学的改変を一切行っていない
自然変異型のウイルスのため、
遺伝子組換え生物等の使用等に
関する規制の対象とならないと
いう所が、他の遺伝子組み換え
や外来遺伝子の挿入を行った物
と違い、根治切除不能・転移性
メラノーマを適応症とした再生
医療等製品の製造販売承認申請
を行える所以という事でしょう。
逆に言えば、遺伝子組換え生物
等の使用等に関する規制の対象
になってしまうとおいそれとは、
再生医療等製品の製造販売承認
申請を行えないということだと
思います。腫瘍溶解性ウイルス
は、正常細胞内でほとんど増殖
しませんが、ガン細胞内では高
い増殖能を示し、ガン細胞を特
異的に殺傷することから効果は、
折り紙付きです。

腫瘍溶解性ウイルスが主要な
腫瘍を破壊する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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