最近の号外Vol.1450メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1450メルマガ

2020-02-02 00:41:40

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
 

診療マル秘裏話  号外Vol.1450 平成31年3月31日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)欧米人患者で冠攣縮発作入院や心臓死多く発生
2)ヘリコバクター・ピロリ菌病理学的検査と診断

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 欧米人患者で冠攣縮発作入院や心臓死多く発生

 
 
 
 
 
 
 
東北大学は3月6日、冠攣縮性
狭心症患者では、臨床的特徴に
欧米人と日本人の間に明らかな
差異があり、また、長期予後を
検討した結果、日本人患者さん
に比べ欧米人患者さんで冠攣縮
発作による不安定狭心症入院や
心臓死がより多く発生している
ことを、初めて明らかにしたと
発表しました。この研究は、同
大大学院医学系研究科循環器内
科学分野の下川宏明教授、高橋
潤講師、佐藤公一医師らの研究
グループによるものです。研究
成果は「International Journa
l of Cardiology 」に掲載され
ています。

冠攣縮性狭心症は、心臓を栄養
する冠動脈の血管平滑筋が一過
性に過剰収縮する事で心筋虚血
を生じ、狭心痛を発症する疾患
です。時として急性冠症候群や
重症不整脈、心臓突然死など重
大な心臓病の原因となることが
明らかにされています。

研究グループは、これまでの基
礎的・臨床的研究から、冠攣縮
性狭心症の病態、新しい診断方
法、治療経過に関わる因子を明
らかにしてきました。従来、欧
米人に比べ、アジア人で有病率
が高いとされてきた冠攣縮性狭
心症ですが、近年、欧米でも冠
攣縮性狭心症に関する研究が盛
んに行われるようになり、欧米
人においても、その有病率はこ
れまで考えられていた以上に高
いことが明らかになりました。
しかし、冠攣縮性狭心症患者の
人種的な差異については、未だ
不明の点が多く、同じ診断基準
で診断された欧米人患者さんと
日本人患者さんの臨床像や長期
予後を、前向きに比較検討する
研究はこれまでにありませんで
した。 今回、研究グループは、
冠攣縮性狭心症に関する国際多
施設共同前向き登録研究を実施
しました。2010年1月~2014年
の12月までの間に、国内外の42
施設で、日本人1,460 症例、欧
米人201症例の合計1,661症例が
登録され、その中の1,460 例に
ついて前向きに臨床経過を観察
しました。

その結果、診断時の登録データ
では日本人の方が男性の比率が
高く、喫煙者の比率が高いこと
が分かりました。また、日本人
の胸痛発作の出現時間は、冠攣
縮性狭心症に特徴的な夜間から
早朝にかけて多かったのに対し、
欧米人の胸痛発作には好発時間
は認められず、終日発作が発生
しているという特徴が明らかに
なりました。

さらに、治療薬に関しては、日
本人では冠攣縮性狭心症治療の
第一選択薬であるカルシウム拮
抗薬が96%の症例で処方されて
いたのに対し、欧米人では86%
にとどまり、代わって硝酸薬や
スタチン、ACE 阻害薬、β遮断
薬の処方率が高いという特徴が
認められました。

長期予後に関しては、日本人に
比して欧米人において冠攣縮発
作による不安定狭心症入院や心
臓死がより多く発生していまし
た。また、冠攣縮研究会リスク
スコア(JCSAリスクスコア)は、
日本人のみならず欧米人におい
ても長期予後を明確に予測でき
る事を初めて明らかにしました。

冠攣縮性狭心症(異型狭心症)

について解説している動画で

す。

 
 


 
 
 
硝酸薬を称賛する。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 ヘリコバクター・ピロリ菌病理学的検査と診断

 
 
 
 
 
 
 
感染症には様々な種類があり、
病理標本で病原体そのものを見
いだす割合は予想外に高くあり
ません。と言うのも、抗生剤で
すでに、病原体が死滅している
場合や、病原体が一様に分布せ
ず、顕微鏡で調べたプレパラー
ト内に病原体が存在しない場合
があるからです。そこで、病原
体が感染している周囲の組織の
反応を見て、感染症の可能性を
推測することもよくあります。

病理診断で最も遭遇する機会
が多い感染症に、ヘリコバクタ
ー・ピロリ菌(HP)がありま
す。「ヘリコ」はらせん、「バ
クター」は細菌、そして「ピロ
リ」は胃の一部のことで、「胃
に見られるらせん型の細菌」と
いう意味です。

幼児期に感染する細菌で土壌
や、井戸水に含まれています。
HPの感染者は40歳以上に多
く、その理由として昔は衛生状
態が良くなかったため、飲料水
から感染したと考えられていま
す。今は衛生状態も良くなり、
飲料水よりも母親から子どもへ
の食べ物の口移しが幼児に感染
する主な原因になっています。

経口摂取されて人の体に入っ
たHPは胃に感染します。胃の
中は胃液が分泌されるため強酸
の環境であり、通常細菌は殺菌
されます。従って、長い間胃の
中には細菌はいないと考えられ
ていました。

1983年にオーストラリア
の病理医がHPを発見し、後に
ノーベル賞を受賞しました。H
Pは自身の周囲をアルカリ化し
て中和することにより胃の粘膜
に生息していたのです。HPに
感染することにより、胃炎や胃
潰瘍(かいよう)を起こします。
それだけでなく、胃ガンや胃の
悪性リンパ腫といった腫瘍が分
かっています。HPの病理診断
についてお話ししましょう。

胃の内視鏡検査を行う時、胃
の組織をほんのわずか採取しま
す。前回お話ししたように採取
された組織はホルマリンで固定
されその後、病理検査室の技師
の手で薄く切られ、プレパラー
トに貼り付けられます。そして、
ヘマトキシリンとエオジンの2
種類の染色液で染色します。そ
れを顕微鏡で観察すると、HP
に感染した胃では粘膜表面の粘
液の中に「ひねりかりんとう」
のようならせん型の小さなHP
が存在しているのが分かります。

しかし、HPの数が少なかっ
たりすると、ヘマトキシリンと
エオジンではうまく染色できず、
病理医がHPを観察できないこ
とがままあります。そのような
時は、病理標本にHPだけ色を
つけて可視化することも可能で
す。これは免疫染色といわれる
技術で、特定の蛋白質に色をつ
け、標本におけるその存在およ
び組織中の存在部位を顕微鏡で
観察できるようにします。

病理学の強みは、菌体と生体
組織を含めた観察が可能という
ことです。では、HPの感染は
その周囲組織にどのような病理
学的変化を起こすのでしょうか


HP感染により、初期では胃
粘膜内にリンパ球や好中球とい
う種類の炎症性細胞が増えてき
ます。つまり、炎症を起こすわ
けです。前回お話ししたように、
炎症とは生体における防御反応
です。 しかし、炎症の程度が
過剰であったり、持続したりす
ると、私たちの体に害を与えま
す。胃の場合は、腹痛や吐き気、
胃もたれなどの症状として現れ
ます。さらに炎症が長期間続く
と、今度は胃粘膜の細胞が消失
して萎縮してきます。

胃粘膜が萎縮すると胃の細胞
の代わりに胃酸を産生せず、腸
液を産生する腸型の細胞が増え
てきます。 その結果、胃酸を
産生できなくなるので消化不良
を起こします。さらに、喫煙や
しょっぱい食べ物など生活習慣
が関係していると考えられてい
ますが、代わりに増えてきた腸
型の細胞から、ガンが発症して
きます。

私たち病理医は標本を見るこ
とによって、HPの存在ととも
に胃粘膜の状態、つまりただの
炎症か、萎縮を伴ってきている
のか、腫瘍ができているかとい
ったことも観察し、その結果を、
病理診断を依頼してきた医師に
報告しています。現在では抗菌
薬を内服することによりHPの
除菌が可能です。治療後の胃組
織を顕微鏡で観察することによ
り、除菌がうまくいったかどう
か、除菌後の胃の粘膜における
炎症の程度はどの程度かといっ
たことを同時に評価します。

病理医による感染症の検査が
単に病原体が存在するか否かを
見る病理検査でなく、あくまで
も病理診断であるのは、臨床医
と同じく患者さんの体の状態も
評価しているからなのです。

ヘリコバクターピロリ菌につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 
以来、病理診断を向井先生に
依頼することとなった。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
東北大学は3月6日、冠攣縮性
狭心症患者では、臨床的特徴に
欧米人と日本人の間に明らかな
差異があり、また、長期予後を
検討した結果、日本人患者さん
に比べ欧米人患者さんで冠攣縮
発作による不安定狭心症入院や
心臓死がより多く発生している
ことを、初めて明らかにしたと
発表したのは、偉大な業績です。
なぜ、欧米人患者さんで多いの
かについては、海産物の摂取が
影響していると思われます。海
産物を食べない欧米人と海産物
をよく食べる日本人では冠攣縮
性狭心症の頻度が違って当然だ
と思います。実際、冠攣縮性の
狭心症発作の時に、カテーテル
を通して、冠動脈にEPAを入
れると冠攣縮が解除されるとい
うことも知られています。当然、
青魚の油でEPAとDHAが知
られていますが、どちらもオメ
ガ3の不飽和脂肪酸です。
病理診断で最も遭遇する機会
が多い感染症に、ヘリコバクタ
ー・ピロリ菌(HP)がありま
す。「ヘリコ」はらせん、「バ
クター」は細菌、そして「ピロ
リ」は胃の一部のことで、「胃
に見られるらせん型の細菌」と
いう意味ですが、ヘリコプター
のように鞭毛を動かして移動す
るというようにゴロ合わせで、
記憶するのが、良いようです。
胃酸の攻撃を逃れるため、普段
は、胃の粘膜の下に隠れていて、
自分の菌体の周りにアンモニア
を出して、更に胃酸から防護す
る方法を持っている狡猾な細菌
です。これをウレアーゼ活性と
いいます。このウレアーゼ活性
を阻害するのが、ガストローム
と言うお薬で、一般名エカベト
ナトリウムと言います。松やに
から作られ、吸収されない胃薬
として知られています。 この
胃薬の原薬の中にアセタゾラミ
ドという別の薬が混入してしま
ったがために、レスリング男子
の阪部創選手(25)(自衛隊)
がドーピング検査に引っかかっ
てしまいました。処分が取り消
されて良かったですね。 逆に
沢井製薬は、回収となり、不良
品であったことが明るみに出ま
した。

ヘリコバクターピロリの菌体
の研究で勤怠が疎かになった。


 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。