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2019-12-08 22:02:48

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診療マル秘裏話  号外Vol.1403 平成31年2月4日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)脳梗塞後慢性期に新免疫細胞が症状回復に寄与
2)不眠が続き最後には死んでしまう恐ろしい病気

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 脳梗塞後慢性期に新免疫細胞が症状回復に寄与

 
 
 
 
 
 
 
 
慶應義塾大学は1月7日、マウ
スモデルを用いた実験により、
脳梗塞後の慢性期に新たに発見
された免疫細胞が働き神経症状
の回復に寄与することを発見し
ました。さらに、すでにうつ病
治療薬として使われている薬剤
がその免疫細胞の増殖を促すこ
とで神経症状を回復させ、新た
な治療薬になる可能性を明らか
にしたと発表しました。 この
研究は、同大医学部微生物学・
免疫学教室の吉村昭彦教授、伊
藤美菜子特任助教らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「Nature」に掲載されてい
ます。

脳梗塞は主な死因、寝たきり
の原因になっています。 患者
総数は100 万人を超えており、
今後も増加が懸念されています。
しかし、現在存在する脳梗塞の
治療法は、発症初期のみに限ら
れており、発症後時間が経過し
た慢性期における有効な新たな
治療薬の開発が望まれています。
研究グループは、これまで脳梗
塞発症後数日間の急性期におけ
るマクロファージを中心とした
炎症プロセスを明らかにしてき
ました。しかし、発症1週間目
以降、炎症は収束し病態に免疫
は関与しないと考えられていま
した。

研究グループは、脳梗塞モデ
ルマウスを用いて、脳梗塞発症
後2週目以降(慢性期)の脳組
織を観察したところ、獲得免疫
を担うリンパ球の一種であるT
細胞が多く集積していることを
発見しました。通常、血液中の
TレグがCD4陽性ヘルパーT細胞
のうちの10~20%であるのに対
し、脳梗塞慢性期の脳Tレグは
約50%を占めており、大量に集
積していると言えます。また、
T細胞の脳内集積を止める薬を
投与すると運動機能を指標とす
る神経症状が悪化したことから、
脳内のT細胞が神経症状の改善
あるいは悪化の防止に役立って
いることも判明しました。さら
に、この脳Tレグは他の組織に
存在するTレグと異なり神経系
に特徴的なセロトニン受容体を
有しており、セロトニンによっ
て増殖・活性化することも判明
しました。脳梗塞モデルマウス
にセロトニンや選択的セロトニ
ン再取り込み阻害薬(SSRI)を
投与した結果、脳Tレグが増加
し、神経症状の改善効果が認め
られたということです。

続いて、脳Tレグがどのよう
なメカニズムで神経症状の改善
に寄与するのかを調査しました。
過剰に活性化されたアストロサ
イトは神経毒となる物質を産生
し、神経細胞を傷害したり神経
伸長を阻害したりすることが知
られていますが、Tレグの除去
で、アストロサイトの活性化が
亢進し、神経毒性物質の産生が
増加することから、Tレグがア
ストロサイトの過剰な活性化を
制御することで神経細胞を保護
していることが推定されたとい
うことです。  これをもとに、
分子レベルでの機序を調べたと
ころ、脳Tレグでは組織修復や
細胞の成長に重要な分子である
アンフィレグリンを強く発現し
ていることが判明しました。こ
のアンフィレグリンが、アスト
ロサイトなどからの炎症性サイ
トカインの産生を抑えることで、
アストロサイトの過剰な活性化
を抑制し、神経細胞の損傷を抑
えていることが明らかとなりま
した。

今回の研究成果により、炎症
反応が収束していると考えられ
ていた脳梗塞の慢性期にも、免
疫系が活発に作動し重要な働き
をしていることが明らかとなり
ました。現在、発症後の時間が
経過した脳梗塞の治療法は再発
予防やリバビリに限られていま
すが、研究グループは「臨床の
場で用いられている抗うつ薬の
投与が新たな治療法として期待
される」と、述べています。

ミューズ細胞で脳卒中慢性期の

再生医療を行うことを紹介して

いる動画です。

 
 


 
 
事態は収束に向かったが終息
はしていない。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 不眠が続き最後には死んでしまう恐ろしい病気

 
 
 
 
 
 
 
 
無茶な励まし方に、「少しぐ
らい眠らなくても、死にはしな
い」というのがあります。慢性
的な睡眠不足は健康を害します
が、一晩程度十分に眠れない日
があったとしても、それだけで
死んでしまうことはないかもし
れません。しかし、不眠が続い
て最後には死んでしまう恐ろし
い病気もあります。それが「致
死性家族性不眠症」です。

この致死性家族性不眠症はとて
も珍しい病気です。これまでに
わかっている患者さんは、世界
で27家系・57人。日本でも数家
系のみですが報告があります。
この病気では、牛海綿状脳症(
BSE )の原因として有名になっ
た「プリオン」によって脳細胞
が壊されていきます。プリオン
を作る遺伝子に生まれつき異常
があり、常染色体優性遺伝で親
から子どもに伝わります。若い
ころはぐっすり眠れていても、
中年ごろから症状が現れてきま
す。発症年齢は、30歳代半ばか
ら60歳すぎで、平均年齢は51歳
です。

はじめに気づく症状は、昼寝が
できない・夜に眠れない・熟睡
感がないなどの不眠症状です。
また、無気力やこれまで楽しめ
たものに興味がなくなるといっ
た、性格の変化も見られます。
そのほか、ものが2つに見える・
眼が疲れる・夜間の発熱・高血
圧・汗や涙が増える・呼吸が荒
くなるなど、交感神経系の活動
が高まりすぎることもあります。

致死性家族性不眠症が進行する
と、ひどい睡眠不足になるため、
日中にもウトウトするようにな
ります。このときに、「夢幻様
混迷」という状態に陥ります。
夢幻様混迷は、日中に突然眠っ
て夢を見て、その夢に関連して
体を動かしてしまうことです。
これは、目を開けていても現れ
ることがあります。夢幻様混迷
は初めのうちは数秒間だけです
が病気が進行するに従って回数
が増え時間も長くなってきます。

そのうち、筋肉が痙攣したり関
節が固くなったり、バランスが
悪くなったり、おしっこが出に
くくなったりします。物が飲み
込めなくなったり言葉が出にく
くなったりするころには、次第
にコミュニケーションも難しく
なってしまいます。 最後には
非常に痩せて動けなくなり、寝
たきりの状態になり死亡してし
まいます。脳のCTやMRI (核磁
気共鳴画像)検査では、大脳や
小脳が萎縮して小さくなってい
ることが分かります。また、ア
イソトープを使ったPET (ポジ
トロン断層法)では、脳の真ん
中にある視床の活動が、大きく
低下しています。

脳髄液をとって調べると、同じ
プリオン病である孤発性クロイ
ツフェルト・ヤコブ病の特徴で
ある特殊な蛋白質が半数の患者
さんで増えています。 また、
覚醒に関係するセロトニンの分
解物が、増えていることもあり
ます。

終夜睡眠ポリグラフ検査では、
正常な睡眠でみられる脳波や筋
電図のパターンが、時間ととも
にドンドン壊れていきます。病
気の早い時期には、浅いノンレ
ム睡眠の特徴である睡眠紡錘波
とΚ複合波が減少し、やがてな
くなってしまいます。 病気が
進行するに従い、深いノンレム
睡眠やレム睡眠もなくなります。
そして亡くなる直前には、脳波
が平らになって脳の活動が停止
します。

最終的に致死性家族性不眠症の
診断をつけるためには、プリオ
ンの遺伝子を解析してこの病気
に特徴的なD178N 129Mという異
常を確認する必要があります。

致死性家族性不眠症に似た症状
をしめす脳の病気として、アル
ツハイマー病や脳血管障害、脳
炎、脳腫瘍、神経梅毒、他のプ
リオン病などがあります。また、
精神疾患のうち、うつ病や統合
失調症、せん妄も、この病気と
紛らわしいときがあります。さ
らに睡眠障害では、レム睡眠行
動障害や睡眠時無呼吸症候群も
似た症状が出ることがあり、注
意が必要です。残念ながら、致
死性家族性不眠症に対する根本
的な治療法は見つかっていませ
ん。この病気は進行性でどんど
ん症状が重くなり、発病から8
~72カ月、平均18カ月で死んで
しまいます。

もし、家族の中で致死性家族性
不眠症になった人がいる場合は
発症の可能性があります。この
場合、遺伝子検査を受けると、
プリオン遺伝子に異常があるか
どうかが分かります。検査につ
いては大学病院などの大きな睡
眠障害の医療機関でお尋ねくだ
さい。

致死性家族性不眠症について、

解説している動画です。

 
 


 
 
主要な脳腫瘍を手術で取り除
く。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
マウスモデルを用いた実験に
より、脳梗塞後の慢性期に新た
に発見された免疫細胞が働き、
神経症状の回復に寄与すること
を発見したのは偉大な業績です。
さらに、すでにうつ病治療薬と
して使われている薬剤(セロト
ニン作動薬)がその免疫細胞の
増殖を促すことで、神経症状を
回復させ、新たな治療薬になる
可能性を明らかにしたと発表し
たのは更に凄い発見と言わざる
を得ません。脳梗塞は主な死因、
寝たきりの原因になっていて、
患者総数は100 万人を超えてお
り、今後も増加が懸念されてい
るということですが、しかし、
現在存在する脳梗塞の治療法は、
発症初期のみに限られており、
発症後時間が経過した慢性期に
おける、有効な新たな治療薬の
開発が望まれているということ
ですので、上記のうつ病治療薬
として使われている薬剤(セロ
トニン作動薬)は打ってつけと
言う事になります。副作用など
の問題が克服できれば、すぐに
でも使いたいと思います。
不眠が続いて最後には死んで
しまう恐ろしい病気もあるなん
て初耳でした。「致死性家族性
不眠症」という病名も聞いた事
がありません。なおかつ狂牛病
で有名なクロイツフェルト・ヤ
コブ病の病原体であるプリオン
蛋白が蓄積するなど異例ずくめ
の病気であることが分かります。
致死性家族性不眠症はとても珍
しい病気で、これまでにわかっ
ている患者さんは、世界で27家
系・57人。日本でも数家系のみ
ながら報告があるということな
ので、私が知らないのも無理な
いかなと思いました。少なくと
も、医学部の医学生時代にこの
病気の講義を聞いたことはあり
ません。その当時、クロイツフ
ェルト・ヤコブ病の病原体が分
かっておらず、クロイツフェル
ト・ヤコブ病の患者さんの病理
解剖を病理医が拒否していまし
た。希少難病とは言え、遺伝病
の一種で、苦しんでいる人がい
る限り、治療法の開発に精進し
て頂きたいものです。

巨費を投じることを拒否する。


 
 
 
 
 
 
 
 
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