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2019-10-12 23:13:07

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診療マル秘裏話  号外Vol.1354 平成30年12月9日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
 
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目次

1)家族性脊髄小脳失調症の原因遺伝子の分子機構
2)自己免疫疾患の一つ「多発性筋炎・皮膚筋炎」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 家族性脊髄小脳失調症の原因遺伝子の分子機構

 
 
 
 
 
 
 
 
理化学研究所は、11月13日、
家族性脊髄小脳失調症の原因遺
伝子であるカルシウムチャネル
IP3 受容体(イノシトール三リ
ン酸受容体)一型の点突然変異
の影響を網羅的に解析し、変異
によりIP3 受容体一型が機能不
全に陥る分子機構を解明したと
発表しました。この研究は理研
脳神経科学研究センター 発生
神経生物研究チームの安東英明
研究員(研究当時)、御子柴克
彦チームリーダーらの研究チー
ムによるものです。研究成果は
「Proceedings of the Nationa
l Academy of Sciences of the
United States of America(P
NAS) 」の掲載に先立ち、オン
ライン版に掲載されています。

家族性脊髄小脳失調症は、その
原因遺伝子により40以上の型に
分類されていますが、そのうち
15/16型および29 型の原因遺伝
子が、細胞内のカルシウムチャ
ネルであるIP3 受容体一型であ
ることが近年の臨床研究で明ら
かになっています。IP3受容体
には3種類の遺伝子(一型、二
型、三型)があり、そのうちIP
3 受容体一型は、小脳の神経細
胞に多く発現し、脳機能に重要
な役割を果たしています。家族
性脊髄小脳失調症の15/16 型が
主にIP3 受容体一型の大規模な
欠失突然変異が原因であるのに
対し、29型はIP3 受容体一型の
点突然変異が原因です。現在ま
でに、家族性脊髄小脳失調症で
約20か所のIP3 受容体一型の点
突然変異が見つかっています。

しかし、これらの変異がIP3 受
容体一型の機能に、どのような
影響を及ぼすかについては、ほ
とんど解明されていませんでし
た。これは、ほぼ全ての細胞に
おいて、3種類のIP3受容体のい
ずれかが発現しており、正常な
IP3 受容体活性が存在するため
に、ヒト由来の細胞を用いてIP
3 受容体の変異体の活性を測定
することがこれまで困難だった
ためだということです。

そこで研究チームは、ゲノム編
集技術を用いて3種類のIP3受容
体遺伝子が、全て欠失したヒト
細胞株を新たに樹立しました。
家族性脊髄小脳失調症で見つか
った点突然変異を持つIP3 受容
体一型変異体の活性を網羅的に
解析しました。

その結果、IP3 受容体一型のミ
スセンス変異により、その活性
化機構や結合蛋白質による制御
が正常に機能しなくなり、細胞
のカルシウムシグナルに異常を
きたしたりすることが判明しま
した。これにより神経細胞内の
カルシウム動態の異常が脊髄小
脳失調症の発症に関わることが
考えられるということです。

研究チームは、2017年にIP3 受
容体一型のX線結晶構造の解明
に成功しており、「今後、立体
構造情報に基づきIP3 受容体一
型の阻害剤や活性化剤を探索す
ることにより、家族性脊髄小脳
失調症の治療のための創薬につ
ながる可能性がある」と述べて
います。

脊髄小脳変性症について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 
分子機構の講義を聴こう。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 自己免疫疾患の一つ「多発性筋炎・皮膚筋炎」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
体の中に細菌や、ウイルスが
侵入しても、免疫機能がこれら
を外敵と認識し、排除してくれ
ます。しかし、この免疫機能が
自分自身の正常な細胞を攻撃し
てしまうのが自己免疫疾患です。
筋肉が炎症を起こして力が入ら
なくなったり、疲れやすくなっ
たりする、「多発性筋炎・皮膚
筋炎」も自己免疫疾患の一つで
す。大阪はびきの医療センター
(大阪府羽曳野市)の田中敏郎
副院長に話を聞きました。多発
性筋炎・皮膚筋炎は、免疫に関
わる白血球や、リンパ球などが
筋肉や皮膚を攻撃する慢性疾患
です。原因が分からないため、
指定難病の一つとなっています。
毎年新たに1000人から2000人の
患者さんが発生しています。女
性に多く、50代での発症が目立
ちます。

全身の症状としては、倦怠(
けんたい)感や食欲不振、体重
減少などがあり、発熱すること
もあります。体を動かす骨格筋
に炎症が起こり、手足や体幹、
首、喉の筋力が低下します。そ
のため、しゃガンだ姿勢から立
つ、物を高く持ち上げる、階段
の上り下りといった動作が難し
くなります。進行すると呼吸や
飲み込む機能が弱まり、窒息死
や誤嚥(ごえん)等を招く危険
があります。

皮膚症状では、まぶたや指の
関節、肩から背中にかけて赤色
を帯びる「紅斑」が現れやすい
とされています。指や肩の紅斑
は、皮膚があかのようにぼろぼ
ろと剥がれるのが特徴です。

多発性筋炎・皮膚筋炎が疑わ
れる場合は、筋肉の炎症反応や
抗体の検査が行われます。最近
では一般の病院でも簡単な検査
ができるようになり、検査結果
からこの病気の可能性が強い事
が分かった場合は、専門病院で
精密検査を受けます。田中副院
長は「一般の人と比べてガンの
発症率が2~3倍高く、ガンを
合併しているケースが多いため、
同時に全身のガン検査も行いま
す」と説明します。

治療は、ステロイド薬や免疫
抑制薬などを使って免疫反応を
抑えます。炎症が治まったら、
筋力を回復するためのリハビリ
にも取り組みます。

「多発性筋炎・皮膚筋炎患者
の約半数が間質性肺炎を合併し、
急速に進行すると呼吸不全で亡
くなることもあります。心当た
りがないのに1週間以上筋肉痛
が続く、椅子から立ち上がりに
くくなったなどの症状があった
ら、すぐ専門医を受診してほし
い」と田中副院長は、促してい
ます。

多発性筋炎・皮膚筋炎について

解説している動画です。

 
 


 
 
 
皮膚の広範な部分に、紅斑が
出現する。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
家族性脊髄小脳失調症の原因
遺伝子であるカルシウムチャネ
ルIP3 受容体(イノシトール三
リン酸受容体)一型の点突然変
異の影響を網羅的に解析し変異
によりIP3 受容体一型が機能不
全に陥る分子機構を解明したと
発表したのは、偉大な業績です。
一リットルの涙という脊髄小脳
変性症の少女の日記を読むたび
に、感動し、涙を流された方も
多いと思います。この病気の一
端のしくみが解明されただけで
も、患者さんにとっては一筋の
光が差し込んだとお感じになる
と推測致します。 家族性脊髄
小脳失調症は、その原因遺伝子
により40以上の型に分類されて
いるので、型に当てはまらない
病気については、臨床での治療
にすぐ結びつけるのが困難かも
知れませんが今後の研究に期待
したいと思います。
免疫機能が自分自身の正常な
細胞を攻撃してしまうのが自己
免疫疾患であり、筋肉が炎症を
起こして力が入らなくなったり、
疲れやすくなったりする「多発
性筋炎・皮膚筋炎」も自己免疫
疾患の一つであることは、医師
の間では、良く知られています。
ただ、一般の人でこの病気につ
いて知っている人は、少ないと
思われます。私が、研修医の頃、
50代の御婦人が、膠原病内科に
自分で歩いて入院されました。
特に、息切れなどの症状がなく
入院時は、なぜこの人が入院し
たのか分からず、不審に思った
ものです。しかし、本文にあっ
たように間質性肺炎を合併し、
入院してから一週間程で、呼吸
困難になり、酸素吸入が必要に
なりました。当時の標準治療で
あった、ステロイド大量療法を
行いましたが無効で、入院して
から数週間で亡くなってしまい
ました。指導医とともに、本当
に無力感に襲われました。それ
ほど恐ろしい病気なのです。

有名選手の不振を不審に思っ
た。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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