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2019-07-30 23:14:16

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診療マル秘裏話  号外Vol.1291 平成30年9月27日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)ヒトの精神疾患は、オートファジ-の機能低下が原因
2)抗ガン剤の効果を精度よく予測する方法を開発

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 ヒトの精神疾患は、オートファジ-の機能低下が原因

 
 
 
 
 
 
 
京都大学は9月3日、神経細胞
のオートファジー機能の低下が、
ヒトの精神疾患に、類似の行動
異常をマウスで引き起こし、こ
れらの行動異常はオートファジ
ーの機能を活性化することによ
り改善すること、オートファジ
ーの機能低下がヒトの精神疾患
で実際に確認されることを実証
したことを発表しました。この
研究は、同大大学院医学研究科
の友田利文特定准教授(現・ト
ロント大学)、櫻井武特定教授、
住友明子特定研究員(現・カナ
ダ・薬物依存・精神衛生センタ
ー博士研究員)、大阪大学の疋
田貴俊教授らの研究グループが、
米ジョンズホプキンス大学と共
同で行ったものです。研究成果
は「Human Molecular Genetics」
「Science Advances」に掲載さ
れています。

精神疾患を持つ患者さんは認知
機能障害や感情障害などの症状
をしばしば抱えています。これ
は、脳が外界の刺激に呼応して
最適な反応の仕方を決める神経
伝達のメカニズムに問題が生じ
た結果、これらの症状につなが
るものと考えられています。

オートファジー機構には、古く
なってダメージを受けた細胞内
小器官や正しい構造で作られな
かった蛋白質などが、細胞内に
蓄積するのを防ぐ重要な役割が
あります。 また、栄養飢餓や
酸化ストレスのような各種スト
レスの負荷がかかると、オート
ファジーが活性化され、細胞の
健康を維持する上で重要な働き
をすることも分かってきていま
す。 さらに、神経細胞の場合、
オートファジーが正常に機能し
ないと次第に細胞が死滅してい
くこと、また、アルツハイマー
病や、パーキンソン病のような
神経変性疾患の患者さんの脳に
は、オートファジーの異常があ
ることも指摘されています。

研究グループは、オートファジ
ーがストレス応答機能である事
に着目しました。先行研究から、
オートファジーが低下したモデ
ルマウスであっても、神経細胞
死が起きない場合があることを
見出していました。そして今回
の研究では、オートファジーの
異常により、細胞死が起きるこ
となく、脳の働き方が変化し、
精神疾患に見られるような認知
機能の異常や、情報処理機能の
異常が示される可能性を検討し
ました。

その結果、認知関連の異常や驚
愕音に対する反応性に異常が見
られ、このマウスの神経細胞に
は、興奮性と抑制性の神経伝達
のバランスが悪いという機能的
な問題があったということです。
その原因のひとつとして、マウ
スの大脳皮質の出力神経細胞に
おいて、本来オートファジーが
正常に機能していれば分解され
るはずの蛋白質が蓄積すること
で、抑制性の神経伝達物質(GA
BA)を受け取る GABA受容体が、
神経細胞の表面に十分に存在し
ない状態があることが判明しま
した。こうした問題が、モデル
マウスにおける認知機能の異常
や脳の情報処理機能の変化を引
き起こした原因のひとつである
ことが考えられ、実験的に神経
細胞表面のGABA受容体の量を増
やしたところ、認知機能や情報
処理機能を回復させることがで
きたということです。

次に、こうしたオートファジー
の機能異常が、実際に、ヒトの
精神疾患に関与しているかどう
かを検証するため患者さん由来
のサンプルを、大量に収集し、
臨床像に対応させて解析を行っ
ているジョンズホプキンス大学
医学部統合失調症疾患センター
との共同研究を実施しました。
ジョンズホプキンス大学の研究
チームは、統合失調症や双極性
障害の患者さんの鼻粘膜から嗅
上皮神経様細胞を採取しており、
これらの細胞の分子の発現レベ
ルを調べたところ、オートファ
ジー機能の低下を示唆する変化
がみられたということです。こ
れにより、動物モデルで示され
た作業仮説は、臨床的にもその
妥当性が実証されたとしていま
す。

今回の研究成果は、ヒトの精神
疾患の中にオートファジー機能
の低下によって引き起こされる
ものが存在する可能性を示して
います。統合失調症などの精神
疾患の原因のひとつを解明した
ことに加えオートファジー機能
の低下を標的とした精神疾患の
新たな治療戦略の開発につなが
ることが期待できる、と研究グ
ループは述べています。

断食とオートファジーについて

解説している動画です。

 
 


 
 
昨日の認知機能は正常だった。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 抗ガン剤の効果を精度よく予測する方法を開発

 
 
 
 
 
 
京都大学は、9月3日、手術で
摘出した大腸ガンから、ガン幹
細胞を効率よく分離し、立体的
に培養する方法を開発、さらに
大腸ガンスフェロイドを実験用
マウスに移植してガンを形成さ
せ、投薬試験を行うことで抗が
ん剤の効果を精度よく予測する
方法を開発したと発表しました。
この研究は、同大大学院 医学
研究科の武藤誠名誉教授(医学
研究科特命教授)、坂井義治教
授、産官学連携本部の三好弘之
特定研究員(特任准教授)、前
川久継研究生らの研究グループ
によるものです。研究成果は「
Oncotarget」「Molecular Canc
er Therapeutics 」に掲載され
ています。

大腸ガンは日本で最も罹患数の
多いガンで、それぞれの患者さ
んに有効な抗ガン剤を予測して
投与する個別化医療の実現が望
まれています。手術で摘出した
ガン組織からガン細胞を培養し、
この細胞にさまざまな抗ガン剤
を添加して抗ガン効果を見る事
は個別化医療を早期に実現可能
とする方法です。

従来、摘出ガンから分離したが
ん細胞を体外培養するのは困難
とされてきましたが、近年ゲル
状の蛋白質(マトリゲル)に埋
め込んだガン細胞をスフェロイ
ドまたはオルガノイドと呼ばれ
る立体的な細胞の塊として培養
する方法が開発されました。し
かし、こうした培養法は特殊な
技術と、複雑な組成の培養液を
必要とするため化学療法が必要
な全ての患者のガン細胞を培養
することは現実的ではありませ
んでした。

研究グループは、ガン細胞スフ
ェロイドを体外培養して抗ガン
剤の効果を調べる方法を改良し、
コストを大幅に抑えるとともに
試験に必要な期間を短縮する事
に成功しました。従来の方法で
は10種類以上の化学物質や蛋白
質を加えた特殊な培養液が使用
されますが、一般的な培養液に
2種類の化学物質(ROCK阻害薬、
TGF-β受容体阻害薬)を加えた
比較的単純な組成の培養液を使
用して、ガン細胞スフェロイド
を2週間から2か月という短期間
で効率よく樹立しました。さら
に2種類の増殖因子(EGF、FGF)
や、化学物質(NECA)を加える
ことで、培養の成功率が約9割
にまで上がったということです。
また、ホタルの発光酵素を用い
た感度の高い増殖測定法を開発
し、体外での薬剤感受性試験が
簡単に行えるようになったとし
ています。

さらに、一旦大腸ガン組織から
ガンスフェロイドを培養し十分
な量に増やしたスフェロイドを
免疫不全マウスに移植すること
で、ガン組織を直接移植するよ
りも効率よく、短期間で移植が
んを作出することに成功しまし
た。この方法をPDSX (Patient
-derived “spheroid” xenogr
aft)と命名しました。このPDS
Xと従来法(PDX:Patient-deri
ved xenograft )を比較したと
ころ、PDSXの方が、形成された
移植ガンの大きさが均一で投薬
試験においてより信頼性の高い
結果が得られたということです。
また、後向き試験では、7件の
症例全てでPDSXによる投薬試験
の結果と患者さんの治療成績が
一致し、試験にかかる期間はPD
Xの平均5か月程度に対し、PDSX
は平均2か月程度だったという
ことです。

今回発表したスフェロイド培養
およびPDSXは、いずれも従来の
技術より低コスト、高効率であ
り、医療サービスとして直ちに
提供できる水準にあるというこ
とです。今後は治療中の患者さ
んでの効果を見る、前向き臨床
試験を通して実際の臨床現場で
の効果を検証するとともに、他
施設での臨床研究の需要に応え
るため、企業への技術移転を行
ってこれらの試験を受託事業と
して受注する体制を整える予定
としています。

抗ガン剤の副作用について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
八俵の米俵の賞品を発表した。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
神経細胞の、オートファジー
機能の低下が、ヒトの精神疾患
に、類似の行動異常をマウスで
引き起こし、これらの行動異常
はオートファジーの機能を活性
化することにより改善すること、
オートファジーの機能低下がヒ
トの精神疾患で実際に確認され
ることを実証したことを発表し
たのは、偉大な業績です。ひょ
っとすると精神障害は、ほとん
どオートファジー機能の低下に
よって起こり、精神障害の治療
がオートファジーの機能を活性
化することによりなされるとす
るならば、現行の治療がコペル
ニクス的転回を見せる可能性が
出てきました。 簡単に言うと
副作用の多いメジャートランキ
ライザーを始めとする薬剤を使
わずに、治療ができるという事
です。 オートファジー機能の
低下を標的とした精神疾患の新
たな治療戦略の開発につなげて
頂きたいものです。
手術で摘出した大腸ガンから、
ガン幹細胞を効率よく分離し、
立体的に培養する方法を開発、
さらに大腸ガンスフェロイドを
実験用マウスに移植してガンを
形成させ、投薬試験を行うこと
で、抗ガン剤の効果を精度よく
予測する方法を開発したと発表
したのは、素晴らしい業績です。
大腸ガンは日本で最も罹患数の
多いガンで、それぞれの患者さ
んに有効な抗ガン剤を予測して
投与する個別化医療の実現が望
まれていることは理解できます。
有効な抗ガン剤を既存の薬剤に
求めるならば、臨床での投与に
当たっては、夜間に投与すると
か、ポリマーを付けてガン細胞
だけに到達するDDS を用いるな
どの工夫が必要になると私は、
考えています。また新規の分子
標的薬などの細胞分裂をターゲ
ットとしないものについては、
その限りではありません。しか
し、その場合でも副作用、相互
作用対策は、必要となると考え
ています。

心機一転、新規の化合物を、
臨床試験の候補に採用する。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
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職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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