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2019-07-17 01:07:32

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診療マル秘裏話  号外Vol.1279 平成30年9月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1)T細胞老化を防止し免疫機能正常に保つ蛋白質
2)ヒトの鉄吸収メカニズムに関わる膜蛋白質の立体構造

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 T細胞老化を防止し免疫機能正常に保つ蛋白質

 
 
 
 
 
 
 
 
愛媛大学は8月16日、蛋白質
「メニン(Menin)」がT細胞の
疲弊や老化を防止し、免疫機能
を正常に保つメカニズムを世界
で初めて解明したと発表しまし
た。この研究は、同大大学院医
学系研究科の山下政克教授らの
研究グループによるものです。
研究成果は、英科学誌「Nature
Communications 」に掲載され、
オンライン版で公開されていま
す。

リンパ球の一種であるT細胞の
機能は、老化とともに低下し、
それが、高齢者における疾患の
増加と関連していることが分か
っています。また、ガン細胞や
ある種のウイルスは、T細胞に
疲弊や老化を誘導することによ
りその機能を減弱させ、免疫シ
ステムから逃れている事が報告
されていることからT細胞機能
を正常に保つ(維持する)事が、
疾患の発症予防につながり健康
長寿の達成のためにも非常に大
切であると考えられます。

しかし、T細胞機能を維持する
メカニズムは複雑で、不明な点
が多く残されていました。また、
研究グループでは、これまでに
Menin がT細胞の疲弊や老化を
防ぐ働きを持っていることは見
つけていましたが、そのメカニ
ズムについては解明されていま
せんでした。そこで今回研究グ
ループは、T細胞機能を維持す
る生体メカニズムを解明し、T
細胞機能の減弱によって引き起
こされる免疫力低下を防ぐため
の方法論を確立することを目的
とした研究を実施したという事
です。

Menin を持たないT細胞を詳し
く調べたところ、細胞の代謝を
調節する分子mTORの過剰な活性
化によって、グルタミン代謝が
亢進し、細胞内のα‐ケトグル
タル酸(α‐KG)濃度が上昇す
ることで、細胞傷害性T細胞に
疲弊や老化が誘導され機能低下
が起きることを解明しました。
また、グルタミン代謝を適度に
制限することで、T細胞の機能
を維持できる可能性が示唆され
ました。これらの成果から、グ
ルタミンの代謝を標的とする事
で、効果的な感染予防ワクチン
や、新しいガン免疫細胞療法が
将来的に開発できる可能性や、
T細胞の疲弊や老化を防止して、
免疫力の低下を回避できる可能
性がある事が初めて示されたと
しています。

近年、低容量のラパマイシン(
mTOR阻害薬)投与により、高齢
者の免疫機能が向上することが、
他の研究グループから報告され
ています。T細胞でのグルタミ
ンの代謝制限が、ヒトにおいて
免疫機能の低下を防止できるか
はまだ不明ですが、今後ヒトの
T細胞を用いた解析を進める事
で、その可能性を明らかにして
いきたいと研究グループは述べ
ています。

免疫細胞がガン細胞を攻撃する

メカニズムについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 
工場で能率が向上する。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 ヒトの鉄吸収メカニズムに関わる膜蛋白質の立体構造

 
 
 
 
 
 
 
 
兵庫県立大学は8月20日、ヒ
トの鉄吸収メカニズムに関わる
膜蛋白質の立体構造を世界で初
めて解明したと発表しました。
この研究は、同大大学院生命理
学研究科の澤井仁美助教と理化
学研究所放射光科学研究センタ
ーの杉本宏専任研究員を中心と
した共同研究グループによるも
のです。研究成果は「Communic
ations Biology」に掲載されて
います。

ヒトにとって鉄は必要不可欠な
栄養素であり、食物に含まれる
鉄イオンを十二指腸で吸収し、
酸素の運搬貯蔵・呼吸によるエ
ネルギー獲得・遺伝子の合成・
毒素の分解等の重要な生理機能
に用いています。ヒトの体内に
は約5gの鉄イオンが存在し、毎
日そのうちの1~2mgが、排泄・
皮膚の剥離・脱毛などにより失
われますが、日々の食事から補
うことで、私たちは体内の鉄イ
オン濃度を一定に保っています。

しかし、十分に食事をとること
ができない、あるいは食物中の
鉄分が不足していた場合は体内
の鉄イオンが少なくなり、鉄欠
乏性貧血に陥ります。鉄欠乏性
貧血は、世界人口の約30%以上
にみられる深刻な栄養問題で、
その予防や治療のためには食物
に含まれる鉄イオンを効率よく
吸収する方法を見出すための情
報が必要となります。

食物に含まれる鉄イオンのほと
んどがFe3+の状態で存在してい
ますが、DMT-1がFe2+ しか輸送
できないため、「Dcytb」がFe3
+をFe2+ に変換する重要な役割
を担っています。研究グループ
は、この鉄イオンの吸収に重要
な鉄還元酵素の鉄還元メカニズ
ムを解明するために、高純度な
ヒト由来Dcytb を調製し、脂質
キュービック相法により、脂質
環境中でDcytb の結晶を作製し
ました。その結晶に大型放射光
施設「SPring-8」の理研マイク
ロフォーカスビームラインBL32
XUの高輝度なX線ビームを照射
して測定したデータを解析する
ことにより、世界で初めてヒト
由来Dcytb の立体構造を解明し
ました。さらに、その立体構造
に基づく機能解析により、食物
に含まれるビタミンCや有機酸
が鉄分の吸収効率を向上させる
仕組みを原子レベルで明らかに
したということです。

鉄欠乏性貧血は、発展途上国に
おける食料不足を原因とするだ
けでなく先進国においても過度
の減量などにより発症頻度が高
く世界的な栄養問題として早急
な予防対策が望まれています。
今回の研究でビタミンCやクエ
ン酸等が鉄イオンの吸収に必須
の反応を促進する仕組みを原子
レベルで解明したことは、鉄分
の効率的な摂取方法や、鉄代謝
異常による疾病への理解につな
がり鉄欠乏性貧血の予防や治療
の端緒を拓くと考えていると研
究グループは述べています。

鉄代謝について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
原料の減量化を図る。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
 
蛋白質「メニン(Menin) 」
がT細胞の疲弊や老化を防止し、
免疫機能を正常に保つメカニズ
ムを世界で、初めて解明したと
発表したのは、偉大な業績です。
リンパ球の一種であるT細胞の
機能は、老化とともに低下し、
それが、高齢者における疾患の
増加と関連していることが分か
っていて、ガン細胞やある種の
ウイルスはT細胞に疲弊や老化
を誘導することによりその機能
を減弱させ、免疫システムから
逃れている事が報告されていま
す。従ってT細胞機能を正常に
保つ(維持する)事が、疾患の
発症予防につながり健康長寿の
達成のためにも非常に大切とい
うのは正論です。是非、グルタ
ミンの代謝を標的とする事で、
効果的な感染予防ワクチンや、
新しいガン免疫細胞療法が将来
的に開発できる可能性やT細胞
の疲弊や老化を防止して、免疫
力の低下を回避できる可能性を
最大限、追究して頂きたいもの
です。
ヒトにとって鉄は必要不可欠
な栄養素であり、食物に含まれ
る鉄イオンを十二指腸で吸収し、
酸素の運搬貯蔵・呼吸によるエ
ネルギー獲得・遺伝子の合成・
毒素の分解等の重要な生理機能
に用いていることが知られてい
ます。鉄欠乏性貧血は発展途上
国における食料不足を原因とす
るだけでなく先進国においても
過度の減量などにより発症頻度
が高く世界的な栄養問題として
早急な予防対策が望まれていま
す。私が血液内科の外来で診た
鉄欠乏性貧血の女性は、ヘモグ
ロビン(血色素)が、5.0g/dL
でした。青白い顔色で、しきり
に疲労感と全身の冷えを訴えて
いました。貧血に馴化したとは、
言え、ここまで人間は耐えられ
るのだと感心しました。今回の
研究で、ビタミンCやクエン酸
などが鉄イオンの吸収に必須の
反応を促進する仕組みを原子レ
ベルで解明したことは、鉄分の
効率的な摂取方法や、鉄代謝異
常による疾病への理解につなが
り鉄欠乏性貧血の予防や治療の
端緒を拓くことに期待したいと
思います。

公立大学に効率的に合格する。


 
 
 
 
 
 
 
 
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