2017-08-04 00:05:58

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診療マル秘裏話　 　号外Vol.669　平成28年10月1日作成
作者　医療法人社団　永徳会　藤田　亨

 
 
 
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目次

1)仮想現実ｼｽﾃﾑで錯覚を用いる事で幻肢痛を治療
2)自閉症発症の仕組の一端を遺伝子異常から解明

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 仮想現実ｼｽﾃﾑで錯覚を用いる事で幻肢痛を治療

 
 
 
 
 
 
東京大学は、9月6日、手足等
の切断や神経障害の後に存在し
ないはずの手足で感じる難治性
の痛み（幻肢痛）について仮想
現実（バーチャルリアリティー）
システムを用いて、幻肢を自分
の意思で、動かしているような
錯覚を繰り返すことで、幻肢痛
が和らぐことを明らかにしたと
発表しました。この研究は、同
大医学部属病院緩和ケア診療部
の住谷昌彦准教授らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は「European Journal of Pain」
オンライン版に、7月5日付けで
掲載されています。
手足の切断後や神経障害によ
って感覚を失われたにも関わら
ず、手足とその感覚が存在する
ように感じられ、その幻肢が痛
む現象を「幻肢痛」といいます。
実際に手足を失っても、脳内で、
幻肢を動かすイメージ（運動表
象）を作ることができる人もい
ますが、多くの場合はこのイメ
ージを作ることができず、幻肢
痛が生じると考えられています。
研究グループは、肢をあたかも
自らの意思で、動かしていると
錯覚するバーチャルリアリティ
ーシステムを用いて、幻肢痛が
改善されるか否かを検証しまし
た。この検証に先立って、脳内
で、幻肢の運動表象が作られる
度合いを、両手干渉課題と呼ば
れる方法により評価しました。
その結果、バーチャルリアリテ
ィーシステムを用いると、患者
さんの幻肢痛が和らぐだけでな
く幻肢の運動表象と痛みの改善
に有意な相関関係がみつかった
ということです。
今回開発されたバーチャルリア
リティーシステムは、人の動き
を記録することのできるモーシ
ョンキャプチャで得た、痛みの
ない方の手足（健肢）が運動し
ている様子を、左右反転させた
映像を、リアルタイムにヘッド
マウントディスプレイへ映し出
すものです。患者さんはゴーグ
ルのようなヘッドマウントディ
スプレイをかぶり、映し出され
た映像を見ながら健肢を動かす
ことによって自らの意志で幻肢
を動かしているような仮想体験
をすることができるということ
です。この成果は、幻肢痛や腕
神経叢引き抜き損傷後疼痛だけ
でなく、脊髄損傷後疼痛や視床
痛など運動麻痺を伴う神経障害
性疼痛患者の痛みの原因の解明
と、新しい治療法の開発につな
がる、と研究グループは述べて
います。

ARというのは人が知覚する現実

環境をコンピュータにより拡張

する技術、およびコンピュータ

により拡張された現実環境その

ものを指す言葉のことです。

ARでの幻肢痛の治療について

解説している動画です。



 
 
 
半纏を着て、飯店で反転した
祭りの男性。笑

 
 
 
 
 
 
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2】 自閉症発症の仕組の一端を遺伝子異常から解明

 
 
 
 
 
 
自閉症を引き起こす仕組みの
一端を、遺伝子異常の側面から
解明したと、九州大の研究グル
ープが発表しました。

７日付の英科学誌「ネイチャ
ー」電子版に掲載されます。

自閉症の原因に関係すると考
えられる遺伝子は数多く報告さ
れています。特にＤＮＡの転写
などに関わる「ＣＨＤ８」を持
っていない人は患者で最多の約
０・４％いるとの研究も、あり
ますが具体的な因果関係は不明
でした。

中山　敬一・九大主幹教授（
細胞生物学）らは、ＣＨＤ８が
ないマウス（ノックアウトマウ
ス）を作製し、行動を観察しま
した。正常なマウスに比べ不安
を強く感じたり、仲間に関心を
示さなかったりする、自閉症の
傾向がみられたということです。

次にさまざまな遺伝子の働き
を調べ、ＣＨＤ８のないマウス
は「ＲＥＳＴ」という蛋白質が
異常に活性化することが分かり
ました。

ＲＥＳＴは胎児の神経細胞の
発達を止める働きがあります。
そのため、自閉症を引き起こす
と考えられるということです。

中山主幹教授は「ＲＥＳＴの
働きを抑制する薬を作り、患者
に届けたい」と話しました。

発達障害のメカニズムについて

解説している動画です。この

先生が述べているのは、一つの

仮説に過ぎません。また完全版

DVDの購入は、自己責任でお願

いします。



 
 
マウスに経口で、蛍光が光る
物質を投与して傾向を探る。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
手足等の切断や神経障害の後
に存在しないはずの手足で感じ
る難治性の痛み（幻肢痛）につ
いて仮想現実（バーチャルリア
リティー）システムを用いて、
幻肢を自分の意思で、動かして
いるような錯覚を繰り返すこと
で、幻肢痛が和らぐことを明ら
かにしたのは、画期的な発見と
言えましょう。ただし、鏡を用
いて行う方法は、インドの医学
者によって確立されていたので、
目新しいのは、仮想現実（バー
チャルリアリティー）システム
を使うということに限ります。
自閉症を引き起こす仕組みの
一端を、遺伝子異常の側面から
解明したのは、自閉症を患う人
とその家族の人にとっては、大
きな福音となることでしょう。
ただし、ＲＥＳＴの働きを抑制
する薬を作ったとしても、ＲＥ
ＳＴは、胎児の神経細胞の発達
を止める働きがあるということ
ですから、神経細胞がほとんど
完成している患者さんに投与し
ても、効果が認められるかどう
かは、不明と言う他ありません。

高価な薬でも、効果があるか
どうかは、不明です。笑

 
 
 
 
 
 
 
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