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2016-11-23 01:06:55

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診療マル秘裏話  号外Vol.450 平成28年1月22日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)家族性高コレステロール血症ではHDL自体の機能が重要
2)脳脊髄液減少症の治療でブラッドパッチが9割奏功

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 家族性高コレステロール血症ではHDL自体の機能が重要

 
 
 
 
国立循環器病研究センター
(国循)は12月23日、生まれつ
きLDL-C 値が高い遺伝病「家族
性高コレステロール血症(FH)」
患者さんにおいて、心筋梗塞等
の動脈硬化性疾患の発症リスク
を予測したり、治療の指針とし
たりする際、HDL-C値よりも「H
DL」自体の機能が重要である事
を明らかにした研究結果を発表
しました。 HDLの機能はFH患者
に特徴的な角膜輪の存在、アキ
レス腱の厚さと関連があること
も分かったとしています。この
研究は、国循病態代謝部の小倉
正恒上級研究員らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
専門誌「Arteriosclerosis,
Thrombosis, and Vascular
Biology 」オンライン版に掲載
されました。
FHとは、生まれつきLDL-C (
悪玉コレステロール)値が高く、
アキレス腱肥厚をはじめとする
黄色腫(腱や皮膚にコレステロ
ールがたまる状態)、角膜輪(
眼球の黒目の部分にコレステロ
ールがリング状にたまる状態)、
若くして心筋梗塞などの動脈
硬化性疾患を発症しやすくなる
などの特徴を持つ遺伝病です。
その頻度は約200~500人中1人
と高く、国内では30万人以上の
患者さんがいると推定されてい
ます。FH患者にはLDL-C 濃度を
下げる治療(主にスタチン投与)
が実施されますが、心筋梗塞等
の予防はしばしば困難であり,L
DL-Cだけではない、新しい診断
基準や治療ターゲットを見つけ
る事が重要課題となっています。
このような「残されたリスク」
のひとつとしてHDL (高比重リ
ポタンパク)の機能が注目され
ています。
研究グループによると、HDL
に備わっている好ましい機能の
内最も大切な機能は、動脈硬化
が起きている場所に存在するマ
クロファージ(生体内の異物を
捕食する白血球の一種)などの
細胞からコレステロールを引き
抜く能力(以後、コレステロー
ル引き抜き能と呼ぶ)。そこで、
国循に通院し、すでにスタチン
投与を受けているFH患者さんを
対象に、コレステロール引き抜
き能を測定しました。
研究グループは、通院中のFH
患者さん227 例について、コレ
ステロール引き抜き能と心筋
梗塞等の動脈硬化性疾患の有無
(症状のある動脈硬化の存在)、
頚動脈エコーで観察した内膜中
膜複合体の厚さ(無症状かもし
れませんが動脈硬化がどれだけ
進んでいるかを予測できる指標
)、角膜輪の有無、アキレス腱
の厚さとの関連を検討しました。
コレステロール引き抜き能の
測定は、放射性同位体で目印を
つけたコレステロールをマクロ
ファージに食べさせた後、患者
さんの血清から取り出したHDL
を作用させるという方法で行い
ました。患者さんのHDL によっ
て培養液中に引き抜かれたコレ
ステロールの放射活性の強さの
割合をコレステロール引き抜き
能としました。
その結果、年齢と性別の影響
を考慮しても、角膜輪のあるFH
患者では、コレステロール引き
抜き能が低く、角膜へのコレス
テロール沈着にはHDL の機能が
関連していることが分かりまし
た。アキレス腱の厚さは年齢・
性別・喫煙歴・肥満・高血圧症・
糖尿病・LDLコレステロール値・
トリグリセリド値といった危険
因子の影響を考慮してもコレス
テロール引き抜き能と負の関連
を認め、腱へのコレステロール
沈着・黄色腫の形成にもHDL の
機能が関連していることが明ら
かになりました。また、頚動脈
エコーで観察した内膜中膜複合
体の厚さは、上記の危険因子の
影響を考慮してもコレステロー
ル引き抜き能と負の関連が認め
られたとしています。
コレステロール引き抜き能は、
HDL-C 値よりも強く、既に動脈
硬化性疾患を発症しているFH
患者さんの予測因子であること
が判明しました。 すなわち、
HDL の機能であるコレステロー
ル引き抜き能は、LDL-C が高い
FH患者さんでも新しい診断マー
カーや治療ターゲットである可
能性が、示唆されたこととなり
ます。
研究グループは、今後もコレ
ステロール引き抜き能というHD
L の機能を決めているものが何
かを探る必要があると指摘しま
した。 また、その他のHDL の
機能(酸化ストレスを抑える作
用や炎症から身を守る作用など)
も新しい診断マーカーであるか
どうかを検討したい考えです。
更にFH患者さんだけではなく、
一般住民や、その他の疾患患者
さんにおいて、HDL の機能が、
どのような役割を果たしている
のかということを日本人で明ら
かにしていく必要があり、現在
も、研究を進めているとしてい
ます。

脂質異常症について解説して

いる動画です。



 
拳闘の試合で健闘することを
検討した。笑

 
 
 
 
 
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2】 脳脊髄液減少症の治療でブラッドパッチが9割奏功

 
 
 
 
 
脳脊髄液が漏れる「脳脊髄液
減少症」の治療として行われて
いるブラッドパッチ(自家血硬
膜外注入)について9割の患者
さんに、治療効果があったとの
調査結果を厚生労働省の研究班
がまとめました。

この治療には、保険が適用さ
れていませんが、研究代表者の
嘉山孝正・日本脳神経外科学会
理事長は「保険適用を国に働き
かけており、後押しする結果だ」
と話しています。

脳脊髄液減少症の、ほとんど
に頭痛がみられ、めまい、だる
さ等を引き起こします。 患者
さんが症状を訴えても、診断や
治療法について医学会の意見が
長らくまとまらず、交通事故や
労災等で訴訟が相次ぎました。
自らの血液を脳脊髄液が漏れる
部分に注入すると、血液が凝固
して、患部をふさぐブラッドパ
ッチという治療法で、改善する
患者さんが多いことが分かり、
2011年になって同学会など
8学会が合同で診療指針を発表
しました。

脳脊髄液減少症の治療について

解説している動画です。



幹部の患部を治療する。笑

 
 
 
 
 
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編集後記
動脈硬化性疾患の発症リスク
を予測したり、治療の指針とし
たりする際、HDL-C値よりも「H
DL」自体の機能が重要である事
を明らかにした研究結果が発表
されたのは、偉大な業績と言え
ましょう。この引き抜き能とい
う機能の測定が放射性同位体で
目印をつけたコレステロールを
マクロファージに食べさせた後、
患者さんの血清から取り出した
HDL を作用させるという方法を
用いているので、一般の血液の
検査のように、簡単に測定でき
るものではないことを申し上げ
たいと思います。放射性同位体
などを用いず、もっと簡便に、
測定できるようにして頂きたい
と思います。
脳脊髄液が漏れる「脳脊髄液
減少症」の治療として行われて
いるブラッドパッチ(自家血硬
膜外注入)について9割の患者
さんに、治療効果があったとい
う報告が出たのは、患者さんに
とって保険適応になる方向で働
いてくれると良いと思います。
患者さんは、非常に辛い頭痛
に悩まされます。 また小児の
患者さんの場合、脳下垂体が、
萎縮して成長ホルモンがでなく
なり、一生成長ホルモンを注射
しなければ、ならなくなるケー
スもあるようです。まさに保険
適応に待ったなしといえるので
はないでしょうか?

注射をしていて、駐車違反を
とられた。笑

 
 
 
 
 
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