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診療マル秘裏話 Vol.558 平成26年8月15日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1) 非アルコール性脂肪性肝炎にカルニチン
2)腸内細菌叢と腸管免疫系の相互制御機構

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】非アルコール性脂肪性肝炎にカルニチン

 
 
 
 
 
岡山大学大学院医歯薬総合研究
科の高木章乃夫准教授の研究グル
ープは非アルコール性脂肪性肝炎
(NASH)に対し、機能性食品
素材「カルニチン」が有効である
という知見を得ました。 モデル
動物を用いて投与試験を実施した
ところ、肝ガンへの進行にいたる
経過を改善することが分かりまし
た。NASHは、近年、罹患率の
増加している疾患ですが、有効な
治療法が、ビタミンEしかありま
せん。カルニチンはサプリメント
として市場が形成されており今回
の成果から新たな治療への応用の
可能性が、見いだされたとしてい
ます。

NASHは、アルコールをほと
んど摂取しないにもかかわらず、
肝臓内に過剰な中性脂肪の蓄積が
起こり、肝硬変、肝ガンへと進行
する疾患のことです。国内では約
100万人存在するともいわれ、
とくに肥満との関与が指摘されて
います。

現在、NASHの標準治療には、
抗酸化作用のある、ビタミンEが
世界的に使用されています。ただ、
合併症の増加などの可能性が指摘
されることもあり、研究グループ
は、新たな治療戦略の1つとして
細胞内で脂肪酸を燃焼させ、エネ
ルギーを産生する小器官であるミ
トコンドリアの機能を、補助する
カルニチンに着目しました。

研究グループは、脂肪性肝炎・
肝ガンモデルのマウスを用いて、
カルニチンを投与しました。疾患
を進展させる過剰な酸化ストレス
を抑制しますが生体の維持に必要
な酸化ストレスにまであまり影響
を及ぼすことなくその制御に有用
である可能性が示唆されたという
ことです。

脂肪性肝炎ではミトコンドリア
機能の低下が疾患の進展に関与し
ていることが確認されています。
一方、カルニチンは、アミノ酸の
誘導体で長鎖脂肪酸をミトコンド
リアに取り込む際に必須の物質で
す。またレボカルニチンが希少用
医薬品、胃薬としても使用されて
います。ミトコンドリアの機能を
改善させることが知られこの機能
が発揮された可能性があると推測
しています。

カルニチン投与群を、ビタミン
E投与群、無投与群とマウス脂肪
肝炎の改善効果として比較したと
ころ、カルニチンの方がビタミン
Eよりも効果が高いことが分かり
ました。更に肝ガンの発ガン抑制
効果を調べると、腫瘍数、腫瘍サ
イズともにビタミンEよりも効果
があることも確認できたという事
です。

酸化ストレスは、生体内でウイ
ルス、細菌からの感染防御に役立
っている等、健康維持にある程度
必要とされています。研究グルー
プでは、ビタミンEの強力な抗酸
化作用がNASHの治療に用いる
ことにより、除去され過ぎてしま
うことを懸念しました。今回、見
いだした、カルニチンの効果は、
単純な抗酸化剤と異なり、ミトコ
ンドリア機能補助機能により酸化
ストレスを適切にコントロールで
きる新たな作用機序による可能性
があるとしています。成果は米国
のオンライン総合科学雑誌「PL
OS ONE」に掲載されました。

NASHについて解説している

動画です。



 
 
 
 
昨日の機能を忘れて、盛夏に青果
で成果を上げた。笑

 
 
 
 
 
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2】腸内細菌叢と腸管免疫系の相互制御機構

 
 
 
 
 
健全で効果的な免疫系の構築に、
腸内細菌叢(フローラ)と、腸管
免疫系とがお互いに制御し合って
いる新しい機構が見つかりました。
過度な免疫反応を抑える制御性T
細胞が、腸内フローラを制御して
おり、バランスのとれた腸内フロ
ーラの状態だと、制御性T細胞の
誘導や、体内への異物侵入を防ぐ
免疫グロブリンA(IgA)抗体
の産生が活発となります。理化学
研究所と東京大学の研究チームは、
外部から有用細菌を投与すると人
為的に腸内フローラを改善し免疫
系を制御できる可能性が示唆され
たとしています。腸内フローラが
影響する難治性偽膜性腸炎などの
新たな治療法の開発につながる事
が予想されます。

ヒトの腸内フローラのバランス
が、取れていると、腸管免疫系を
適切に活性化できるという知見を
もとに、同フローラの維持に免疫
系がどのような作用を及ぼすのか、
免疫系のどこにバランスのよい同
フローラが影響しているかという
課題を明らかにする目的で研究に
着手しました。

実験では免疫不全モデルのマウ
スを用いて、まず免疫系が、どの
ように腸内フローラのバランスの
維持に関わるかを調べました。
免疫不全マウスの場合、正常マウ
スに比べ腸内フローラの多様性を
欠き、菌の構成比率も変化すると
いう基礎知見を得た後、外来異物
の刺激によって応答する 「獲得
免疫系」(T細胞、B細胞などを
中心とする系統)が腸内フローラ
のバランス維持に、重要であると
仮定しました。

次に理研が蓄積した研究報告か
ら、腸管で、IgA抗体の産生を
効率よく誘導させる制御性T細胞
の解析を進めました。 T細胞が
できない免疫不全マウスに、正常
マウスの制御性T細胞を移植し、
飼育すると、腸内フローラの多様
性が表れバランスのとれた状態に
なりました。このことから制御性
T細胞は、IgA抗体の産生を介
し腸内フローラのバランス制御を
していることが分かりました。

一方、腸内フローラのバランス
が免疫に与える影響を調べるため、
正常マウスに腸内細菌の多く生存
する糞便を投与する実験を試みま
した。腸内フローラのバランスの
よいマウスの糞便を投与した群で
は、バランスの乱れた、マウスの
糞便を投与した群と比較し、Ig
A抗体の産生効率が、よいことを
確認できました。

これは腸管内にフローラが存在
している状態でも、ビフィズス菌
や乳酸菌などの有用細菌を摂取す
れば、腸内フローラの構成、腸管
免疫系に及ぼす影響を与え、さら
にバランスの取れた腸内フローラ
によって、制御性T細胞やIgA
抗体の産生に基づく、健全な腸管
免疫系の形成に有効であることを
意味しています。

制御性T細胞は、Tレグと言うことも

あります。



 
 
 
 
抗体の産生に賛成する。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
カルニチンは、脂質代謝に重要
な役割を果たすことが、知られて
いました。脂質代謝異常である非
アルコール性脂肪性肝炎に効果が
あるのは、当然と言えば当然の事
かも知れません。しかし、最初に
見つけた人が素晴らしいと言える
のでは、ないでしょうか。コロン
ブスの卵だったとも言えると私は
考えています。腸管免疫について
現在まであまり研究されて来なか
ったため、このような自由な発想
の実験ができなかったのでは、と
私は考えています。エレガントな
実験系であると思いました。

義経八艘跳びの発想はすごい。笑

 
 
 
 
 
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