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診療マル秘裏話 Vol.331 平成21年4月8日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次
1)  RNA干渉を用いたガンの遺伝子治療
2) 再生医療の研究と国の指針の問題点

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。

 
 
1】 を用いたガンの遺伝子治療

ヒトにおいて、腫瘍細胞に入り込んで
ガン(ガン)を引き起こす毒性蛋白
(たんぱく)質の産生を阻害する遺伝子
操作療法の使用に初めて成功した研究が
報告されました。RNA干渉(RNAi)として
知られるこの遺伝子操作療法は、RNA
干渉の過程で二本鎖RNAを合わせて
いわゆる“短い二本鎖RNA”(siRNA)
を形成し、それを細胞内に導入します。
細胞内に入ったsiRNAは、特定の蛋白質
生成に通常用いられるメッセンジャー
RNA(mRNA)を分解し、その遺伝子発現
を抑制します。この発見は2006年に
ノーベル賞を受賞しましたが、研究
には線虫が用いられていました。

米カリフォルニア工科大学
(CalTech、パサデナ)化学工学教授
のMark E. Davis氏らは、身体に注入
すると腫瘍まで進み、siRNAsを腫瘍
細胞に導入し、指定されたタスクを
行わせる極小のナノ粒子システムを
考案しました。今回の第1相臨床試験は、
実際のメラノーマ患者さんを対象に
実施されました。

治療後の生検によって、試験は計画
どおりに進んだことが確認されました。
同氏らは、腫瘍に直接的ではなく、
インフルエンザや他の皮下注射と同様
にナノ粒子を患者さんに注射しました。
ナノ粒子は順調に標的となる腫瘍細胞
に向かい、適所のmRNAに付着し、問題
の蛋白質の産生を停止させました。
研究結果は、英科学誌「Nature
(ネイチャー)」オンライン版に3月
21日掲載されました。

Davis氏は「副作用を抑えるには
プロセスの正確さが非常に重要である。
疾患に関与する蛋白質に選択的に
向かうことができ、標的外の影響を
生じることなく、遺伝子レベルで攻撃
して排除したい蛋白質を排除する」と
いっています。同氏らは、同システム
が、多くの異なる遺伝子に到達し、
これまで薬物療法をすり抜けてきた
腫瘍に作用する高度に標的化した選択
的方法になると考えています。

米フォックス・チェイスFox Chase
ガンセンター(フィラデルフィア)の
Gregory Adams氏は「実際に治療に
使用するには改良や最適化が必要な
ことは明らかである」としつつも、
「これらは、基本的に
“この蛋白質を今発現させたくない”
という指示書を細胞に導入する。
これは驚くべきことであり、大きな
可能性を秘めている。また、この
療法は従来の遺伝子療法と異なり
可逆的である」ということです。
別の専門家も「これは、特定の蛋白質
の産生を停止させるためにガンを促進
する遺伝メカニズムに直接干渉する
ものである」と述べています。

ノーベル賞をとったRNA干渉を

分かりやすく解説した動画です。

www.youtube.com/watch?v=Y8SgznqhbNk

 
 
 
 
 
 











認知症のβ-アミロイドは、どうで
しょうか?タンパク質の産生を中止
させれば、これは世界注視の研究
です。笑

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2】 再生医療の研究と国の指針の問題点

けがや病気で傷んだ組織や臓器を
治す再生医療の応用に向けた研究が
加速しています。広島市で3月18、
19日に開かれた日本再生医療学会
では、様々な細胞に変化できる
iPS細胞(新型万能細胞)や
ES細胞(胚性幹細胞)の基礎研究
と並んで、実際の治療を見すえた
応用研究が次々と報告されました。
一方で、臨床応用に向けた国の審査
を逸脱するケースも発覚するなど、
普及に向けた課題も浮き彫りになり
ました。
「国の指針に抵触するのでは」
「院内の承認は受けている。抵触
などというものではない」3月
19日のシンポジウムで、
人の脂肪に含まれる幹細胞
(脂肪幹細胞)を使った臨床研究
を国の審査を経ずに実施した
名古屋大病院泌尿器科の報告に、
座長から厳しい質問が繰り返され
ました。

前立腺ガンの摘出で慢性尿漏れ
を起こした患者さんに、自分の
脂肪幹細胞を注射して尿道の筋肉
の再生を促すもので、後藤百万
教授によると、2009年1-3
月に70-80歳代の男性計5人
に実施しました。4人の症状が
改善、尿漏れがほぼ止まった患者
さんもいるということです。

同科のグループはラットの研究
を基に、08年9月に医学部倫理
委員会の承認を受けて着手し
ました。他の診療科は国に審査を
申請していることから、研究を
一時停止し、09年8月に申請
したということです。一方で国
には臨床研究の実態は報告せず、
同10月には韓国の国際研究会
でも「世界初の臨床研究」として
発表していました。

厚生労働省研究開発振興課は
「人に対して行った時点で指針に
違反している」と指摘しました。
名古屋大医学部も調査委員会を
設置するとのことです。
後藤教授は
「知らなかったでは済まされない。
認識不足を反省している」
と話しています。

幹細胞で人を治療する臨床
研究は、かつては各研究施設の
倫理委員会の審査だけで行って
いましたが、安全面で不明な点
も多いため、国が「ヒト幹細胞
を用いる臨床研究に関する指針」
を作成しました。06年9月
から施設だけでなく国との
二重審査が義務づけられました。

国の審査では、移植する細胞
に医薬品としても承認される
ほどの安全性を求めているほか、
犬や豚など大型動物の実験を
重視しています。患者さんに
対しては、効果を強調せず、
安全性を最優先する研究である
ことを説明して同意を得るよう
求めています。

研究者の間では「指針が
厳しい」とする意見があるのも
事実です。審査が数か月から
1年以上かかるため、準備が
長引き、安全を確保するための
機器や検査の費用もかさむと
いうことです。

今回の学会でも再生医療の
実現に向けて課題を話し合う
シンポジウムで「指針が安全性
を重視するあまり、臨床応用
や研究で得られた特許などの
知的財産権の対策を遅らせて
いる」とする声が上がりました。

厚労省の専門委員会では現在、
体の組織にある体性幹細胞
に限っていた指針を見直し、
ES細胞やiPS細胞などを
含めた新しい指針づくりを
進めています。同学会前理事長
の中内啓光・東京大教授は、
学会会期中に記者会見し、現行
の審査について「(研究段階で
薬事法レベルの安全性を求める
のは)現実的でない、過剰な
規制」として見直しを求め
ました。

一方、指針作成時の専門委員長
だった中畑龍俊・京都大教授
は「(再生医療の)可能性を
強調し過ぎて、慎重さを欠く
べきではない」と話しています。
指針に法的な拘束力はないが、
「期待が高い分、社会に受け
入れられるには安全性の議論を
重ねることが、むしろ近道だ」
と強調しました。
今回の学会では、体にもと
もと備わっている「体性幹細胞」
を生かした研究が多く紹介され
ました。

名古屋大で問題となった脂肪
幹細胞ですが、骨や血管、筋肉
など幅広く姿を変える能力が
明らかになっています。マウス
やイヌの動物実験で歯周病で
傷んだ歯茎や骨、心筋、肝機能
障害を回復させた例などが報告
されました。安全でたくさん
採取できるので、普及しやすい
材料として注目を集めています。
骨髄に含まれる間葉系幹細胞を
用いた研究はより実用に近付き
ました。自治医大と京都大は、
生体肝移植で移植する肝臓に
つながる血管「門脈」から
幹細胞を注入すると、酵素の
異常な増加を抑えて、移植
した肝臓が良い状態で生着する
ことをラットの研究で示し
ました。年内にも臨床研究を
行う準備に入ります。

国の指針の承認を受けて
いる臨床研究の発表もあり、
東海大は、椎間板ヘルニアなど
の患者さんに幹細胞を移植した
6例の経過を報告しました。

今話題のSTAP細胞に関する動画です。

www.youtube.com/watch?v=oHY0jnb3esg

 
 
 
 












研究が先か、承認が先か、
卵が先か、鶏が先か、水掛論
です。笑

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

編集後記

RNA干渉を用いた臨床研究の
話は、凄すぎると思いました。
βーアミロイドや神経難病の
原因となっているタンパク質
に生産不可の指令を与えれば、
臨床応用の範囲は広いと考え
ています。しかしそのような
臨床応用の広くできる研究
でも、勇み足をしてしまう
と元も子もありません。国の
指針の承認の規制緩和は
絶対に必要です。たとえば、
上記名古屋大の泌尿器科の
ように、他の国で発表して
しまうと国際競争力が
無くなって他の国でやった
二番煎じの研究が賞を
もらったりすると残念という
ことにもなりかねません。

閑話ばかりでは、緩和しすぎ
てしまいます。笑
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