2013-12-24 21:10:28

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診療マル秘裏話　Vol.174　平成19年3月29日作成
作者　医療法人社団　永徳会　藤田　亨
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目次

1)　人工リンパ節
2） 大腸ガンの浸潤

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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。

1】 人工リンパ節

スポンジのような物質を使って
人工的に作ったリンパ節を移植し、
マウスの低下した免疫機能を回復
させることに成功したと、理化学
研究所のグループが3月16日、
米国の科学誌に発表しました。

同研究所の渡辺武（わたなべ・
たけし）ユニットリーダーは
「人工リンパ節は、免疫機能を
総合的に高めることができ、必要
に応じて着脱が可能。将来は
エイズなどの免疫不全症の治療や、
ガンの免疫療法にも応用できるの
ではないか」と話しています。

グループは、牛のコラーゲン
から作ったスポンジ状の物質を
小さく切り、免疫細胞の分化など
にかかわる「ストローマ細胞」と、
免疫反応の司令塔として働く
「樹状細胞」とを含ませ、マウス
の腎臓皮膜の下に移植する方法で、
自然のリンパ節とほぼ同様の構造
を持つ人工リンパ節を作りました。

人工リンパ節を、免疫不全症に
かかったマウスに移植しました。
抗原として鶏の卵白アルブミン
という物質を注射し、血清中に
できる抗体を調べると、正常な
マウスに移植した場合に比べて
約10-100倍の抗体が作られるなど、
マウスの免疫能力が大幅に向上
したことが確認されました。
この機能は30日以上持続したと
いうことです。

また、人工リンパ節の免疫細胞
の種類を調べたところ、同じ抗原
が再度浸入した際に素早く免疫
反応を起こすのに必要な「免疫
記憶細胞」が、自然のリンパ節の
何倍も多く含まれ、この結果、
素早い免疫反応が起こることが
分かりました。

リンパ系に関する動画です。

www.youtube.com/watch?v=yhtFrB97nJA

 
 
 
 

人工リンパ節で免疫力の向上は
見られたが、イラクでは、軍隊の
免役能力の向上は当分見られない。笑

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2】 大腸ガンの浸潤

京都大大学院の武藤誠教授
（遺伝薬理学）のグループは、
大腸ガンが周囲の組織に広がる
「浸潤」の仕組みを解明し
ました。ガン細胞は「ＣＣＬ９」
というホルモンを使って血液中
にある極少量の免疫細胞を引き
寄せた後、免疫細胞が出す酵素
を使って正常細胞の中に潜り
込んでいました。武藤教授は
「ＣＣＬ９の受容体を阻害する
薬剤ができれば、免疫細胞が
ガンに引き寄せられるのを防げ
る。浸潤を抑制し、ガンの拡大
を防ぐ新治療法につながる
可能性がある」と指摘して
います。成果は3月19日、
米科学誌「ネイチャー・
ジェネティックス」（電子版）
に掲載されます。

同グループは、人為的に大腸
ガンを発症させたマウスで、
ガン細胞の先端に免疫細胞の
一種である未分化の骨髄球が
集まり、ガン細胞の浸潤を促進
する酵素を作り出すことを確認
しました。骨髄球はＣＣＬ９の
受容体を持っているため、ガン
細胞が出すＣＣＬ９に引き寄せ
られます。この骨髄球は骨髄内
にあることが知られていました
が、血液中にもわずかに存在
していることが新たに分かり
ました。また、人の大腸ガンの
一部でも同様の仕組みが働いて
いることも確認されました。

浸潤は、良性腫瘍（しゅよう）
が悪性化する際の特徴といわれて
います。以前、浸潤促進酵素の
働きを直接阻害する薬剤の開発
が進められましたが、強い副作用
が出るため失敗していました。

大腸ガンについての動画です。

www.youtube.com/watch?v=4Hr695AWfY4

 
 
 
 

漢の高祖は、酵素風呂に
入っていた。笑

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編集後記

ストローマ細胞と樹上細胞は、
免疫の正常なマウスからとった
のでしょうか？マウスの腎臓は
非常に小さいので被膜下に移植
するのは大変だったと考えられ
ます。大腸ガンの浸潤が酵素で
行われているというのは、非常
に興味深い話です。大腸ガンの
予防には、運動しかないという
ことは、以前のメルマガでも
紹介しました。
ＣＣＬ９の受容体を阻害する
物質が早く見つかるといい
ですね。

ＣＣＬ９受容体は、重要
たい！笑

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