最新号より100号前のメルマガ

2013-11-17 19:08:25

カテゴリー:ブログ

エベレスト

藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。



美白・美肌 ブログランキングへ

 
診療マル秘裏話 Vol.419 平成23年12月8日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
目次
1) 大阪大学で開発された世界初の高血圧DNAワクチン
2) 2型糖尿病患者さんにおける睡眠呼吸障害の合併率

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。

1】 大阪大学で開発された世界初の高血圧DNAワクチン

大阪大学で開発された世界初の高血圧
DNAワクチンは、従来のペプチドワクチン
に比べて、アジュバントによる頭痛や
発熱などの副作用がなく、降圧効果が
より持続し、標的分子のアンジオテンシン
(Ang)IIのみならずAngIにも作用する
ため、レニン阻害薬、ACE阻害薬、ARB
が持つそれぞれのメリットが期待できる
ことが、栃木県総合文化センター
(栃木県宇都宮市)で開かれた第34回
日本高血圧学会で報告されました。
同ワクチンは今後、2年後をメド
とした臨床試験の開始と、動物用
薬剤としての市販を予定していますが、
高血圧、心不全、
脳梗塞の予防ワクチンとしての有用性
も注目されています。

近年、高血圧に対する新しい治療法の
開発としてレニン・A n g系を標的とした
ワクチンに大きな関心が集められて
います。その中でA n gワクチンは、
日中の収縮期血圧や早朝の時間帯の
拡張期血圧を有意に下げるため、治療へ
の応用の可能性が期待されてきました。

開発研究の歴史を見ていくと、レニン
に対するペプチドワクチンの基礎研究は
腎不全の副作用が発症したためその開発
は断念されたものの、A n gI、A n gII
およびA n g受容体に対するペプチド
ワクチンについては、自然高血圧発症
ラット(SHR)で有意な抗体価の上昇と
血圧低下が確認されています。

さらに、2008年にはA n gIIペプチド
ワクチン投与による血圧の有意な低下が
報告されました。ですが、持続時間が
数カ月から半年と短いことや、頭痛、
注射した部分の腫れ、発熱などの
アジュバントによる副作用などが課題
として指摘され、その解消が求められて
います。

このような現況の中、高血圧DNA
ワクチンの有用性を報告した森下竜一氏
(大阪大学大学院医学系研究科臨床
遺伝子治療学)らのグループは、高血圧
をはじめとした生活習慣病
に対するワクチンとして、高い安全性と
確実な有効性を実現するための基盤技術
を開発するための基礎的な研究を進めて
きました。

高血圧を対象としたワクチンは、ガンや
感染症のワクチンとは異なり、T細胞の
活性化による細胞傷害性(細胞性免疫)
をできるだけ回避してB細胞による抗体
産生を促す必要があります。

そこで、森下氏らはワクチンの標的
分子としてA n gIIを
選択し、自家製のA n gIIペプチド
ワクチンとA n gIID N A
ワクチンの創製を試みました。A n gII
は、主に細胞外に存在し、血中濃度が
低いという特徴を持っています。

その結果、A n gIIペプチドワクチンは、
SHRの血圧を有意に低下し、臓器障害を
抑制しました。同ワクチンの作用
メカニズムは、A n gIIを認識する抗体を
産生させて、A n gIIによる血圧上昇を
抑制するというものです。ですが、
抗体価が経時的に低下するために
降圧効果は短く、アジュバントによる
副作用も懸念されています。

ペプチドワクチンのこれらの欠点を
クリアするために開発されたのが、高血圧
DNAワクチン(A n gIID N Aワクチン)です。
A n gIID N Aワクチンは、
[1] DNAによる自然免疫系の活性化作用が
あり、アジュバントを必要としません。
[2]T細胞の活性化作用が強く、抗原提示
期間も長いため、免疫反応が強く効果が
より持続する可能性があります。
[3]ガン(メラノーマでPIII)や感染症
(鳥インフルエンザでPII)の臨床試験も
進んでおり、サケやネコの動物用薬剤も
市販されている–などのメリットを有して
います。

森下氏らが創製したAn gIID NAワクチン
は、B型肝炎ウイルスの部分蛋白であるB型
肝炎ウイルスコア関連抗原(H B c)に
A n gII抗原を挿入したものです。免疫原性
が高く、A n gII抗原として認識されやすく
なるため、効率的に抗体を産生できます。
また、針無し注射器(シマジェット)に
よる効率的な遺伝子導入を特徴とします。

SHRの0、2、4週目にAngIIDNAワクチン
を投与した結果、2回目投与から2週後に
抗A n gII抗体産生が確認され、その後、
半年間抗体価は持続したということです。
さらに抗体は、A n gIIに加えてAngIにも
反応しましたが、アンジオテンシノーゲン
には反応しませんでした。同ワクチン
は、重症高血圧ラットでは血圧降下作用を
示し、正常ラットの血圧を下げないことも
確認されています。

これらの実験結果をもとに森下氏は、
「A n gIIを標的としたD N Aワクチンに
より、抗A n gII抗体の産生を促進し、
SHRの血圧を半年間低下させることに成功
した」と総括しました。
その上で、「ラットでの半年間にわたる
降圧効果は、人間では20年間に値する」と
解説し、「標的分子のAngIIのみならずAngI
にも作用するため、レニン阻害薬、
ACE阻害薬、ARBが持つそれぞれのメリット
が期待できる」との可能性を指摘しました。

副作用についても「アジュバントを用い
ないため、アジュバントによる副作用は
ない。自己免疫による副作用も
今のところ考えにくい」と明言しています。
さらに、AngIIDNAワクチンの医療への適応
についても言及し、
[1]経口薬剤の内服が困難な高血圧患者の
血圧コントロール
[2]高血圧予防ワクチンとしての可能性
[3]心不全・脳梗塞・腎不全の予防ワクチン
[4]動物用薬剤(イヌは心不全治療薬、ネコ
は腎不全治療薬)への応用–などを挙げて
います。

わが国の高血圧の有病率は非常に高く、
約4割が「血圧高め」に属すると言われて
います。10年の降圧薬の国内市場規模は
9144億円(対前年比1.9%増)で、そのうち
ARBは6000億円を占めています。降圧薬は、
国内医療用医薬品市場の約20%弱を占めて
おり、患者数の増加に伴い18年には1兆
400億円に達すると予測されています。

AngIIDNAワクチンは、アンジェスM Gとの
連携で2年後をメドとした臨床試験開始と
動物用薬剤としての市販を予定しています
が、医療費抑制効果と発展途上国への援助
に対する期待も高まっています。

遠所の艶女を援助する。笑

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2】2型糖尿病患者さんにおける睡眠呼吸障害の合併率

2型糖尿病と睡眠呼吸障害の関連が注目
されていますが、日本人における報告は未だ
少ないとのことです。今回、2型糖尿病患者
さんにおける睡眠呼吸障害の合併率と、
内臓脂肪やアディポネクチンとの関連に
ついて解析を行いました。
その結果、高頻度に睡眠呼吸障害の合併と、
内臓脂肪蓄積の深い関与を認めました。また、
内臓脂肪の減少により、睡眠呼吸障害を改善
し得ることが明らかにされました。

近年、過栄養および運動不足に伴い、肥満
(特に腹部肥満)が増加しています。
内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)
の上流には内臓脂肪の蓄積が存在します。
この分子メカニズムとして、脂肪細胞から
血中に放出される多彩なアディポサイトカイン
の分泌異常があることが突き止められ、
中でも低アディポネクチン血症が重要である
ことが明らかになりました。

一方で、2型糖尿病と睡眠呼吸障害の関連
が注目されています。しかし、日本人に
おける報告は未だ少なく、どのような因子が
関与しているのかは明らかではありません。
2型糖尿病入院患者さんの60%は、
内臓脂肪蓄積をきたした肥満2型糖尿病患者
さんです。2型糖尿病入院患者さんを対象に
睡眠呼吸障害の評価を行いました。
また、2型糖尿病患者さんにおける睡眠呼吸
障害と内臓脂肪、アディポネクチンとの関連
についても解析を行いました。

1つ目の研究として、2006年2月から2007年
3月に入院した2型糖尿病患者さん40人(男性
27人、女性13人、平均年齢57.9歳)を対象に、
入院期間中の任意の一終夜、睡眠生理検査
(携帯型)を施行し、睡眠前および起床後に
血中アディポネクチン濃度を測定しました。

無呼吸を10秒以上の気流の停止、低呼吸を
30%以上の気流低下かつ4%以上の血中酸素
飽和度低下と定義しました。睡眠時間1時間
あたりの無呼吸、低呼吸の回数から、
睡眠呼吸障害の重症度の指標である無呼吸
低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)
を判定し、AHI 5以上を睡眠呼吸障害と診断
しました。波形解析は認定技師が行い、
睡眠時間は患者さんの申告より算定され
ました。

結果、入院2型糖尿病患者さん40人中31人
(77.5%)に睡眠呼吸障害を認め、AHIと
内臓脂肪量の間に正の相関(R=0.80、p<0.01)
を認めました。また、睡眠呼吸障害を合併
した症例では、夜間から明け方にかけての
血中アディポネクチン濃度の変化率は、睡眠
呼吸障害を合併しない症例と比べて有意に
低値でした(変化率:睡眠呼吸障害合併群は
-3.4±1.8%、非合併群は4.7±2.6%、
p<0.05)。
2つ目の研究は、2009年2月から2010年1月
に入院した
2型糖尿病患者さん40人(男性21人、女性19人、
平均年齢56.6歳)を対象とし、入院直後
および糖尿病治療後に、睡眠呼吸検査
(携帯型)、身体計測、血液検査を施行
しました。
睡眠呼吸検査は上記の研究と同様に施行
しました。

多変量解析した結果、BMIおよび腹囲がAHI
に対する独立した説明因子でした。糖尿病
入院治療後に、BMI、腹囲、AHIは有意に減少
し、1,5-AGは増加を認めました。AHI変化率は、
1,5-AGおよびBMIとは関連を認めず、腹囲のみ
と正の相関(R=0.53、P<0.01)を認めました。

入院2型糖尿病患者さんにおいて、高頻度に
睡眠呼吸障害の合併を認めました。2型糖尿病
患者さんにおける睡眠呼吸障害には内臓脂肪
蓄積が深く関与しており、その減少により、
睡眠呼吸障害は改善することが明らかと
なりました。
2型糖尿病患者さんの睡眠呼吸障害を積極的に
評価し、適切な治療の導入を行うことが、
心血管疾患の進展、発症予防に重要と考えられて
います。

氷菓を評価する。笑

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

編集後記

今回は、かなりヘビーな内容でちょっと
難しすぎたかもしれません。細かいところは、
読み飛ばして頂き本質のみを把握して頂け
れば、幸いです。新型DNA高血圧ワクチンは
様々なメリットがあり、降圧薬の販売に
ストップをかけるぐらいの衝撃的、画期的
発見と言えるでしょう。2型糖尿病患者さんにおける
睡眠呼吸障害には内臓脂肪蓄積が深く関与して
おり、その減少により、睡眠呼吸障害は改善
するということは、素晴らしい発見でしょう。
2型糖尿病患者さんの睡眠呼吸障害を積極的に
評価し、適切な治療の導入を行うことが、
心血管疾患の進展、発症予防に重要というのも
目からウロコの話だと思います。

活気が画期的と言える。笑

************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
ただしお友達への転送はご自由はご自由です。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント