最新号より100号前のメルマガ

2013-01-17 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.377 平成23年2月24日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

目次



  

1) アルツハイマー病の発症に関わる遺伝子

2) 自己免疫疾患を抑えるタンパク質



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  

 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。





 

1】 アルツハイマー病の発症に関わる遺伝子



アルツハイマー病の発症に関わる遺伝子の移動メカニズム

を線虫の実験で明らかにしたと、名古屋大大学院の松本邦弘

(まつもと・くにひろ)教授らが2月9日付の米科学誌

ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表しました。



 この遺伝子が移動する際に起きる異常で発症するとみられて

おり、詳しい発症の仕組みや予防・治療薬開発につながる

可能性があるということです。



 原因遺伝子は「APP」と呼ばれ、神経細胞内にあります。

細胞中心部と末端の間を行き来し、異常が起きて末端に蓄積

されると脳に染み(老人斑)ができ、アルツハイマー病を

起こすと考えられています。



 松本教授らは、緑色蛍光タンパク質を使い、線虫の

神経細胞内のAPPの移動を観察しました。末端部分で

ダイニンというタンパク質がAPPを載せ、中心部に

運び出していることを突き止めました。



 中心部から末端への移動の際は、キネシン1という

タンパク質が「モーター」の役割を果たすことは既に

分かっていました。



 線虫と人ではAPPやダイニンがほぼ同じ構造をしており、

人にも同じメカニズムがあるとみられるということです。



 医道は移動しない。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



2】自己免疫疾患を抑えるタンパク質



 免疫細胞が体の組織を異物と認識し攻撃する自己免疫疾患

を抑えるタンパク質を徳島大と京都大、金沢大のグループが

マウスで突き止め、2月7日付の米科学誌に発表しました。



 こうした疾患には1型糖尿病や関節リウマチなどさまざまな

ものがあり、徳島大の岡崎拓(おかざき・たく)教授(免疫学)

は「このタンパク質の機能を強化する薬剤を開発すれば、

治療法開発につながる可能性がある」と話しています。



 タンパク質は「LAG3」です。血中のリンパ球の表面に

あり、免疫反応を起こす物質から受ける刺激を弱める働き

を持っています。



 グループはこれまでに、リンパ球上のタンパク質「PD1」が

LAG3と同様の働きをすることを発見しました。PD1の

遺伝子を欠損したマウスを作製したところ、心臓の筋肉に炎症

が起きる自己免疫性の心筋炎で死んだマウスと死ななかったもの

がありました。死んだマウスはLAG3を作る遺伝子が変異し、

LAG3タンパク質が不完全で、機能しないことが分かりました。



 LAG3の遺伝子だけを欠損させても症状は出ないため、

PD1などほかの物質とともに免疫反応を抑制するとみられて

います。



 機能の強化は昨日の教化。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



編集後記



 アルツハイマー病の根本療法の薬は、欧米で臨床

試験に入っているようです。移動するタンパク質の

メカニズムが明らかになったとあれば、全容解明も

夢ではないのかもしれません。自己免疫性疾患の

お助けタンパク質の作用を増強する薬を開発して

膠原病、炎症性腸疾患などの臨床に応用してほしい

と思います。これらの病で苦しんでいる人は多数

いるものと推測されます。



 試験で私見を述べる。笑



************************



このメールマガジンは以下の配信システムを利用して

発行しています。

  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。

「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)



発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 

藤田 亨

職業    医師の箸くれ(はしくれ)

運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。

sara2162@atlas.plala.or.jp

このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること

を禁じます。

ただしお友達への転送はご自由はご自由です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント