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2013-01-10 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.376 平成23年2月17日作成





作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨








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目次





  


1) 恐怖や不安の記憶を消し去る脳内マリフアナ


2) 毛根タンパク質の不足が脱毛と白髪の両方の原因





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは


1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を


増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の


なさから1週間に1回が限度となっています。これからも


当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識


を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って


おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので


どうかお許し下さい。








 


1】 恐怖や不安の記憶を消し去る脳内マリフアナ





恐怖や不安の記憶を消し去る脳内マリフアナ


「内在性カンナビノイド」を伝達するシナプス


(神経細胞の接合部)を北海道大学医学研究科の


渡辺雅彦(わたなべ・まさひこ)教授(神経解剖学)


のグループがマウスの研究で突き止め、1月31日


の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表しました。





 脳内で作用するプロセスが具体的に分かったのは


初めてです。心的外傷後ストレス障害(PTSD)


の新薬開発などにつながる可能性があるということ


です。





 脳内では無数の神経細胞が結合しあい、シナプスが


視覚や聴覚をはじめ、さまざまな情報を伝達する役割


を果たします。





 研究グループによると、カンナビノイドを受け取る


シナプスは、恐怖や不安など「負の感情」をつかさどる


大脳の扁桃体の中の「基底核」と呼ばれる部分にあり


ました。神経細胞に食い込むような特殊な形をしており


「陥入型シナプス」と名付けました。





 陥入型シナプス周辺の神経細胞にはカンナビノイドの


合成酵素も集中しています。神経細胞で生成された


カンナビノイドがシナプスに働きかけ、基底核の活動を


活発化させて恐怖の記憶を消去していると考えられる


ということです。





 渡辺教授は「カンナビノイドを含む薬は食欲増進など


に使われている。プロセス解明によって、PTSDへの


薬効に注目した新薬開発が進む可能性がある」と話して


います。





 大麻草のマリファナに近い成分アナンダミド(内因性


カンナビノイド受容体結合物質)が人間の脳では働き


ます。この物質は脂肪酸アミド加水分解酵素 (FAAH) に


よってエタノールアミンとアラキドン酸へ分解されること


が分かっています。この脂肪酸アミド加水分解酵素 (FAAH)


の阻害剤が作れればPTSDに対する治療がすすむのでは


ないかと考えられています。





 大麻は大魔だが、使いよう。笑





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2】毛根タンパク質の不足が脱毛と白髪の両方の原因





 毛根で「17型コラーゲン」というタンパク質が不足


すると、脱毛と白髪の両方の原因となることをマウスの


研究で突き止めたと、西村栄美(にしむら・えみ)


東京医科歯科大教授(幹細胞医学)らが2月4日付


米科学誌に発表しました。





 西村教授は「頭皮でこのコラーゲンが作られるような


薬を開発すると、一部の脱毛や白髪を治療できる可能性


がある」と話しています。





 髪の毛と黒い色のもとは、毛根に貯蔵されている


毛包幹細胞と色素幹細胞です。毛が再生産される際に使われ


ます。





 西村教授らによると、17型コラーゲンの働きで毛包幹細胞


が枯渇せず脱毛を防いでいることが判明しました。


このコラーゲンは、毛包幹細胞が「TGFベータ」という


タンパク質を作るのにも不可欠で、このタンパク質の働きで


色素幹細胞がなくなってしまわないことも分かったということ


です。





 マウスは通常、生後約2年で老化し脱毛や白髪が起きますが、


遺伝子操作で17型コラーゲンができないようにしたマウス


では、半年以内に白髪が目立つようになり、約10カ月で全身の


毛が抜けました。TGFベータも作られていませんでした。





 さらに人間の17型コラーゲンを作るよう遺伝子操作すると、


再び毛包と色素の両方の幹細胞ができ、脱毛と白髪を抑えられ


ました。





 TGFベータができても、色素幹細胞側で受け取れないように


遺伝子操作をすると白髪になりました。





 脱毛と白髪の人の怒りのもと17型こらーゲン。笑





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編集後記





 大麻の成分そのものを治療に用いるのは難しいですが


メカニズムが解明されて脳内麻薬の分解酵素を阻害する


のは副作用さえなければ、可能ではないでしょうか。


脱毛や白髪に関するメカニズムは、もう少し複雑に色々


な因子が絡み合っている気がします。この発見だけで


ものすごく治療に結びつくというわけには、なかなか


いかないでしょうが根気づよく研究を続けていって


頂きたいと思います。





 今期の根気。笑





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