最新号より100号前のメルマガ
2012-12-13 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.371 平成23年1月13日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
目次
1) 統合失調症に「Lセリン」の脳内での不足が関係
2) マウス妊娠高血圧症候群の新たな治療法
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 統合失調症に「Lセリン」の脳内での不足が関係
統合失調症の患者さんにみられる感情や会話、社会性の喪失
といった症状に関わっているとされるグルタミン酸の
神経伝達異常に、アミノ酸の一種である「Lセリン」の
脳内での不足が関係していることを、九州大の古屋茂樹
(ふるや・しげき)教授らのグループがマウスを使った
実験で12月24日までに突き止め、
米生化学・分子生物学会誌(電子版)に発表しました。
古屋教授は脳内でLセリンを増やす方法の研究も進めて
おり、統合失調症の発症メカニズムの一端を解明し、
治療薬の開発に結び付く可能性も期待されています。
Lセリンは、グルタミン酸の神経伝達時に、刺激を
受け取る受容体を活性化させるアミノ酸「Dセリン」の元
となる物質です。これまで統合失調症の患者について、
血液中などのDセリンの含量低下が報告されてきました。
古屋教授らはLセリンの供給源に注目しました。
遺伝子組み換えにより脳内でLセリンを生合成できない
マウスを作成して解析したところ、脳内のLセリンは
正常なマウスの15%程度、Dセリンは10%以下の含量
まで低下し、グルタミン酸の受容体機能も低下したという
ことです。
古屋教授は「特に脳内でのLセリン合成が神経伝達機能
を保つために不可欠だと確認できた」と説明しました。
今後、マウスの行動異常についても観察し、統合失調症
との関連を調べるということです。
監察官が鑑札を観察する。笑
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2】 マウス妊娠高血圧症候群の新たな治療法
妊娠中に母体の血圧が異常に上がる妊娠高血圧症候群
(妊娠中毒症)のマウスにコレステロール低下薬
「スタチン」を投与して治療することに、大阪大
(大阪府吹田市)チームが成功し、12月27日付の
米科学アカデミー紀要電子版に掲載されました。
同症候群は重症になると母子ともに死に至ることも
あります。大阪大微生物病研究所の伊川正人
(いかわ・まさひと)准教授は「治療だけでなく発症を
予防する効果もあり、ヒトへの臨床応用につながる
重要な成果」話しています。
チームは血管の形成を妨げる遺伝子を胎盤で過剰に
働かせ、妊娠高血圧症候群のマウスを作製しました。
胎盤の血管が正常に作られず、胎児に血液をより多く
送り出そうとして、妊娠14日目ごろから血圧が
上がり始め、妊娠18日目ごろには正常時の
約1・2倍に達しました。
しかし、血中のコレステロールの量を下げたり血管
を丈夫にしたりするとされるスタチンを妊娠7日目
ごろから毎日注射すると、出産まで血圧の上昇が
ほぼなくなりました。
注射したマウスでは、血管の形成を促すタンパク質の
量が約2倍に増え、胎盤の血管が増加し、高血圧が
抑えられたとみられています。
経世の形勢に耳を傾ける。笑
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
編集後記
統合性失調症の定義は、訂正不可能な幻覚妄想が
あり、なおかつ器質的疾患をもたない疾病という
ように習いました。しかし、ミクロの(分子の)
世界では器質的異常がないと言えないことは
事実でしょう。早く分子機構の全てのメカニズム
が明らかとなり臨床に生かされる日が来ることを
望んでいます。 妊娠高血圧症で苦しんでいる妊婦
さんを何とか救ってあげる手段の端緒が見つかった
ということでしょう。血管の形成を促すタンパク質
の量をスタチンに頼らず増やすことができれば、
臨床応用が見えてくるのではないでしょうか。
妊娠高血圧症は、胎盤の血管の欠陥。笑
************************
このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)
発行者名 医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業 医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp
このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
ただしお友達への転送はご自由はご自由です。
コメントする