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2012-10-11 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.363 平成22年11月18日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1) 「アクチン繊維」の構造

2) 精巣腫瘍(しゅよう)の悪性化



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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。





 

1】 「アクチン繊維」の構造



体の中で筋肉の収縮などにかかわる幅わずか

10ナノメートル(ナノは10億分の1)の繊維状

タンパク質「アクチン繊維」の構造を、電子顕微鏡

で明らかにすることに大阪大の藤井高志

(ふじい・たかし)特任研究員らのチームが成功し、

英科学誌ネイチャー電子版に掲載されました。



 チームの難波啓一(なんば・けいいち)教授

(生物物理学)は「筋肉や神経など、生体内で重要

な働きをしているアクチン繊維の構造を原子レベル

で明らかにできた。アクチンはガンなど細胞の形が

変化する病気にもかかわっており、これらの研究

にも貢献できる」と話しています。



 アクチン繊維は、タンパク質の一種アクチンがら

せん状に連なってできており、細胞の中で伸びたり

縮んだりすることで細胞の運動や形を調節して

います。



 チームは、ウサギの筋肉から採取したアクチン繊維

を液体ヘリウムでマイナス220度まで冷やして凍らせ、

電子顕微鏡で詳細に解析しました。単体のアクチンを

構成する四つの部位の向きや構造が、繊維状になると

大きく変化していることが分かりました。



 単体が担体であった。笑



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2】 精巣腫瘍(しゅよう)の悪性化



 精巣腫瘍(しゅよう)の悪性化には、男性に特有の

Y染色体にある遺伝子からできるタンパク質が

かかわっているとの研究結果を、東京大分子細胞生物学

研究所の加藤茂明(かとう・しげあき)教授らが11月

2日付米科学アカデミー紀要電子版に発表しました。



 日本の精巣腫瘍の患者は欧米に比べ少なく、10万人

当たり2人程度です。だが生殖年齢の20~40代に

発症が多く、悪性化するとほかの臓器への転移の危険性

も高いと言われています。発症や悪性化の仕組みは

ほとんど分かっておらず、精巣摘出以外の治療法はない

ということです。



 加藤教授は「仕組みの一部を明らかにできた。よりよい

治療につなげたい」と話しています。



 精巣腫瘍は、男性ホルモン「アンドロゲン」と受容体が

結合してできた物質が細胞核の中に異常に多く入ると、

細胞が増殖し悪性化します。加藤教授らは腫瘍細胞を使った

実験で、Y染色体の遺伝子からできる「TSPY」という

タンパク質が存在すると、この結合物質が核に入るのを防ぐ

ことを見つけ、TSPYが細胞増殖の”ブレーキ役”と判断

しました。



 腫瘍が悪性化した患者さんの細胞ではTSPYの生産量が

少なくなっていました。悪性化した患者さんとそうでない

患者さんは遺伝子の違いはなく、タンパク質を作る過程で

問題が起きているのではないかということです。



  TSPYは、T(精巣)のSPY(スパイ)です。笑



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編集後記



 アクチン、ミオシンの構造が最近になってやっと分かった

というのは、学生の時に習った模式図は何だったのかという

疑問が生じてきます。早くガン細胞の転移など臨床の成果に

応用して欲しいものです。精巣腫瘍について今までほとんど

分からなかったメカニズムの一旦が発見されたのは画期的と

言えるでしょう。TSPYを遺伝子治療に使うなどという臨床的

成果が望まれるところです。



 画期的な研究の研究者は、活気的。笑



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