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2012-09-06 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.358 平成22年10月14日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 「経口免疫寛容」の仕組み
2) 細胞表面にあるセンサータンパク質の役割
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 「経口免疫寛容」の仕組み
本来、異物である食べ物が体内に入っても、免疫機構が
攻撃を仕掛けない「経口免疫寛容」の仕組みをマウスの実験
で明らかにしたと、理化学研究所の佐藤克明
(さとう・かつあき)チームリーダーらが9月30日付の
米科学誌ブラッド電子版に発表しました。
生きるのに必要な食べ物を異物と判断してしまうと、食物
アレルギーを引き起こし、命にかかわることもあります。
佐藤さんは「アレルギー治療につながる成果」と話しています。
佐藤さんらは、食べ物が吸収される腸の粘膜では、免疫細胞
の一種「樹状細胞」の表面に「B7H1」と「B7DC」
という2種類の分子が顔を出し、免疫を抑制するT細胞を作り、
異物を攻撃する抗体の生産を抑えるなど重要な役割を果たして
いることを突き止めました。
普通のマウスに、あらかじめアレルギー物質のタンパク質を
食べさせると、1週間後に同じタンパク質を皮下注射した場合
にできた抗体の量は、事前に食べさせなかったマウスの
約20%に減り、経口免疫寛容が成立することを確認しました。
遺伝子操作でこの2種類の分子をなくしたマウスで同様の実験
をすると、抗体は70~80%できました。
経口免疫寛容では、腸の粘膜の樹状細胞が肝要です。笑
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2】 細胞表面にあるセンサータンパク質の役割
細胞表面にあるセンサータンパク質が、周りにあるタンパク質
の信号を受け取り、細胞内に周囲の情報を伝える仕組みを大阪大
(大阪府吹田市)と横浜市立大のチームが明らかにし、
9月29日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載されました。
体内での信号のやりとりは神経などの形成のほか、ガンや
自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎などの病気の進行に関与して
います。信号を遮断すれば免疫の働きを抑え自己免疫疾患の治療
につながり、信号を強くすればアトピー性皮膚炎を抑えられる
ということです。
チームは、マウスの信号タンパク質「セマフォリン」と細胞表面
のセンサー「プレキシン」の結晶構造を大型放射光施設
「スプリング8」(兵庫県)などで解析しました。
通常は細胞表面でくっついている2個のプレキシンが、近くに来た
セマフォリンを間に挟み込み、細胞内に情報を伝えるとみられて
います。
大阪大蛋白質(たんぱくしつ)研究所の高木淳一
(たかぎ・じゅんいち)教授は「信号授受の様子を原子レベルで
明らかにできた。信号の働きを調節する薬をコンピューターで
デザインできるかもしれない」と話しています。
結晶構造の解析は、汗の決勝。笑
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編集後記
免疫の仕組みは神秘のベールにつつまれて来ました。
しかし経口免疫寛容の仕組みが明らかになり、細胞内
情報伝達系の経路が明らかになりつつある現在では、
自己免疫性疾患やアトピー性皮膚炎の完治も夢では
ないという気がします。地道な結晶構造の解析など
の基礎的データが応用されたもので本当に日本の研究者
の根気には恐れ入ります。ノーベル化学賞を日本人が
受賞するのも分かる気がします。さらなる免疫機構の
解析に期待したいと考えています。
流線型の機体に期待した。笑
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