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2012-06-27 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.345 平成21年7月15日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1) 大腸ガンから肝臓への転移の仕組みの解明

2) ピロリ菌のガン化のメカニズム解明





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。





 

1】 大腸ガンから肝臓への転移の仕組みの解明



 京都大大学院の武藤誠教授(遺伝薬理学)らのグループ

が、ガンの中でも数が多い大腸から肝臓への転移の仕組み

をマウス実験で解明し、転移を防ぐ薬を見つけました。

成果は近く米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載され

ます。



 大腸から肝臓へは多くの血液が流れ込むため、ガンが

転移するケースが多いとされています。グループは

大腸ガンを転移させたマウスの肝臓を観察しました。

ガン細胞が分泌する「ケモカイン」というたんぱく質が、

周辺の組織を破壊する酵素を出す免疫系細胞の一種

「未分化骨髄球」を引き寄せ、転移を促していること

を突き止めました。



 骨髄球がケモカインと結合する受容体を持たない

遺伝子改変マウスでは転移が抑制されたため、グループは

多発性硬化症の治療を目指して開発された受容体阻害薬を

ガンが転移したマウスに投与しました。その結果、転移が

抑えられ、約2倍長生きできることを確認しました。



 武藤教授は「今回の薬は人間に副作用が少なく、新たな

治療法の開発につながる可能性がある」と話しています。



 典医が転移を抑制した。笑



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2】 ピロリ菌のガン化のメカニズム解明



 胃ガンの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌が、

胃の細胞内に発ガン物質を送り込む仕組みを

畠山昌則・東京大教授(微生物学)の研究チームが

解明しました。菌が胃の細胞膜を「畳返しの術」の

ように反転させ、現れた細胞膜の裏側に発ガン物質

を結合させるということです。米科学誌に発表され

ました。



 人の細胞膜は二重の脂質からなり、内側の膜は

ホスファチジルセリンという脂質でできています。



 研究チームの紙谷尚子助教らが、ピロリ菌に

感染した細胞を観察したところ、菌が接触した

細胞膜の部分だけが反転して、ホスファチジルセリン

が表に出ました。そこに、菌から分泌された

発ガン物質が結合しました。そのまま再び反転して

、細胞内に発ガン物質が運び込まれました。



 畠山教授は「ピロリ菌がどうやって発ガン物質を

細胞内に侵入させるかは不明だった。今回、忍者の

ように巧みな方法をとっていることが分かった」と

話しています。ピロリ菌は抗生物質で除菌できる

ものの、成功率は7-8割で、新たな予防、治療法の

開発につなげたい考えです。



 ピロリ菌がぴろりと反転させた。笑 



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編集後記



 ガンの治療で難渋するのは、他の臓器に転移する

からです。転移を抑えられれば、原発巣の治療に

専念できるので治癒する確率が高くなります。

大腸ガンに限らず、転移が抑えられるようになると

ガンの治癒率も大幅に向上するのではないでしょうか?

ピロリ菌がガンを起こすメカニズムが分かったのは

重要な発見でしょう。折しも、MALTリンパ腫やITP

の治療に除菌療法が保険適応になりました。もっと

副作用が少なく、除菌率の高い除菌療法が開発される

ことを望みます。



 ガンの予防の除菌療法は、ガンガンできるように

なって欲しいものです。笑



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