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2012-06-27 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.346 平成21年7月22日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 脊髄損傷マウスのiPS細胞を用いた神経再生医療
2) 細胞の移動を制御する「ブレーキ」のメカニズム
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 脊髄損傷マウスのiPS細胞を用いた神経再生医療
腫瘍(しゅよう)にならない人工多能性幹細胞(iPS細胞)
を選び、脊髄(せきずい)を損傷したマウスに移植し、
運動機能を回復させることに、岡野栄之・慶応大教授と
山中伸弥・京都大教授の研究チームが成功しました。
iPS細胞はさまざまな組織や臓器の細胞になり、再生医療へ
の応用が期待されていますが、腫瘍を作る危険性がありました。
米科学アカデミー紀要(電子版)で発表されます。
研究チームはマウスの脳にiPS細胞を移植し、
半年たっても腫瘍を作らなかったiPS細胞を選びました。
次に、さまざまな神経細胞になる神経幹細胞に変化させ、
脊髄が損傷したマウスに損傷9日目に50万個移植すると、
だめになった後ろ脚を使って歩いたりできるまでに回復
しました。
一方、腫瘍化の可能性があるiPS細胞で同じように
実験すると、運動機能は一時的に回復しましたが、
約5週間後には脊髄内で腫瘍が形成され、機能も低下しました。
岡野教授は「安全性を厳密に評価すれば、iPS細胞を将来、
脊髄損傷の治療に使える道が開かれた」と話しています。
治療に使える主要なiPS細胞は腫瘍を作らない。笑
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2】 細胞の移動を制御する「ブレーキ」のメカニズム
細胞の移動を制御する「ブレーキ」のメカニズムの一端を
解明したと、名古屋大大学院理学研究科の武田修一
(たけだ・しゅういち)研究員らのグループが7月6日付の
米科学誌電子版に発表しました。細胞運動を理解するのに
役立ち、ガン細胞の転移を防ぐ治療研究への応用も期待
できるということです。
細胞は、細胞中に最も多いタンパク質「アクチン」が
複数結合(重合)すると移動し、「アクチンキャッピング
タンパク質」(CP)という物質がアクチンに結合すると
アクチンの重合を抑えて移動を止めます。CPの
「ブレーキ能力」は、別の二つのタンパク質とCPの結合
によって調節されることが分かっていましたが、詳しい
仕組みは未解明でした。
研究チームは大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)
のエックス線解析を使い、二つのタンパク質とCPとの
結合構造を解析しました。アクチンより先にCPと結合
してアクチンとCPの結合を防いだり、アクチンとCPの
結合力を弱めて引き離すなどの方法で、二つのタンパク質が
CPのブレーキ能力を調節する仕組みを解明しました。
音の長節を調節する。笑
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編集後記
マウスの場合、in vivoで脳に移植後、腫瘍を作らない
といった芸当ができますが、人間に応用する場合は
どのようにその課程をクリアーするのでしょうか?
しかし、脊髄を損傷した患者さんにとっては、朗報と
いえるでしょう。細胞の移動に関するメカニズムを
解明する実験を特殊なエックス線解析装置を使って
行うのは、画期的な方法と言えるでしょう。早くガンの
転移に応用することができるようになることを祈って
います。
懐石料理を会席して解析する。笑
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