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2012-05-07 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.340 平成21年6月10日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 重症化すると死亡することもある感染症
2) 腱の発達に重要な働きをする遺伝子
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 重症化すると死亡することもある感染症
犬や猫の口内に常在する細菌が、かまれたり引っかかれたり
した人に発熱や腹痛などを引き起こす「カプノサイトファーガ・
カニモルサス感染症」で、2002-09年の8年間に14人が
発病し、うち6人が死亡していたことが、厚生労働省のまとめ
で分かりました。
同省は、ホームページで「めったに感染しないが、高齢者や
病気で免疫が低下している人は重症化しやすい」と指摘して
います。エサの口移しなど過度な接触を控え、さわった後は
よく手を洗うよう、注意を促しています。
カプノサイトファーガ症の調査・研究をしている国立感染症
研究所獣医科学部の鈴木道雄主任研究官に話しを聞きました。
「最初の患者報告は1976年アメリカでのこと。89年に
カプノサイトファーガ菌と命名されました」。それ以降世界で
約250例報告されており、日本では2002年に最初の死亡者が
報告され、現在までに14例が(そのうち6例が死亡)知られています。
「ただこの菌は突然現れたわけではありません。恐らく人間と犬猫が
一緒に暮らすようになった大昔から存在していた菌です」とのこと。
新種の菌ではなく、医療が進んで原因菌として判明しました。
積極的に調査して軽症の人も多く存在することがわかってくれば、
本当の死亡率は低い可能性もあるということです。事実、オランダの
患者調査では死亡率は約12%とされており、また発症するのは
人口100万人あたり0.7人(オランダ)、0.5人(デンマーク)
という報告もあります。未知な点が多く、患者数が少ないので
研究にはまだ時間がかかるということです。
しかし死亡する可能性があるのは否めず、傷の大きさや深さに
関係なく感染する可能性があり、傷を舐められて感染した例も
あるので楽観はできません。口腔内細菌をゼロにすることは
できないので予防は難しいけれど、「比較的有名な猫ひっかき傷や
パスツレラ症と同じ、咬傷や掻傷の際の感染症のひとつとして
カプノサイトファーガ症もあると知っておくことは大事でしょう。
発症予防と治療に有効な抗生物質もあります。体に異常を感じたら、
早めに医療機関を受診することが大切」と鈴木先生は話しています。
常在戦場は、錠剤洗浄。笑
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2】 腱の発達に重要な働きをする遺伝子
筋肉と骨を結合して筋肉の力を骨に伝え、動きの要となっている
腱(けん)が発達する際に重要な働きをする遺伝子をマウスで
見つけたと、国立成育医療研究センターの浅原弘嗣
(あさはら・ひろし)システム発生・再生医学研究部長ら
が5月24日付米科学アカデミー紀要電子版に発表しました。
アキレス腱などの腱は、栄養を運ぶ血管が少なく再生力が
非常に弱いため、断裂した場合の治療が難しいことが知られて
います。こうしたけがの新しい治療法開発につながる可能性が
あるということです。
浅原部長らは、筋肉など体の部位を作る際の司令塔の一つ
「Mohawk」という遺伝子が、腱の細胞だけで働いている
ことに注目しました。この遺伝子を持たないマウスを遺伝子操作
で作ったところ、腱が未成熟なマウスが生まれました。
このマウスは、コラーゲンを主成分とする腱のらせん状のひもが
十分な太さに発達せず、引っ張りに対する強度は通常のマウスの
約半分しかありませんでした。
浅原部長は「先天性の腱の病気の原因解明にもつながる可能性
がある」と話しています。
けんけんのしすぎが腱に負担をかける。笑
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編集後記
人畜共通症とは、人間と動物が共通になる病気です。
しかし、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症
は、動物には病原性はなく、人にのみ病原性がある
感染症です。治療には、βーラクタマーゼ阻害剤入り
ペニシリンが用いられるようです。アキレス腱と言う
ように不死身のアキレスですら弱点といわれた腱の
再生は、非常に時間がかかると言われています。
腱の再生に関わる遺伝子の全貌を早く明らかにして
欲しいものです。
遺伝子操作を捜査する。笑
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