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2012-04-19 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.338 平成21年5月27日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1)  神経変性から神経細胞を保護する酵素

2) 関節炎を起こしにくくする分子



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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。





 

1】 神経変性から神経細胞を保護する酵素



 脳の神経細胞で働く酵素が、脳疾患につながる神経変性から

細胞を守る働きをしていることを、佐々木雄彦(ささき・たけひこ)

秋田大教授(医学)らの研究チームがマウスの実験で解明しました。

5月13日英科学誌ネイチャー電子版に発表しました。

パーキンソン病やハンチントン病など神経変性疾患の治療法開発に

つながる可能性があるということです。



 チームは、体内で脂質を分解する酵素で役割が未解明な

「INPP4A」に着目しました。この酵素を持たないマウスを

作ったところ、四肢が激しく震えるなどして動けず、症状が人の

ハンチントン病などの特徴に似ていました。



 調べると、マウスの脳で運動をつかさどる部位の神経細胞が

死んでいました。また酵素を働かなくさせた神経細胞に

グルタミン酸を与えると、細胞死することも突き止めました。



 脳にあるグルタミン酸は、神経伝達物質として記憶などの脳の

正常な働きに必須な一方、神経を興奮させすぎて細胞死させる毒性

も備えています。



 チームは、神経細胞がグルタミン酸を過剰に受け取るのを酵素が

防ぎ、毒性から保護していると判断しました。佐々木教授は

「”もろ刃の剣”とも言えるグルタミン酸から、細胞が守られる

仕組みの一端を初めて解明できた」と話しています。



 保護する酵素の働きをホゴにする病気。笑



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2】 関節炎を起こしにくくする分子



 老化や免疫異常により関節の軟骨が破壊され、痛みや運動障害

の症状が出る関節炎を防ぐのに重要な役割を果たす小さな分子を

見つけたと、国立成育医療研究センターの浅原弘嗣

(あさはら・ひろし)システム発生・再生医学研究部長らが

5月12日付米科学誌電子版に発表しました。



 マウスの実験で、この分子を増やすと関節炎になりにくいこと

を確かめました。浅原部長は「関節炎やリウマチの新しい治療法

につながる可能性がある」と話しています。



 浅原部長らは、人間やマウスの軟骨細胞に、マイクロRNA

という分子の一種「miR140」が多く含まれることに注目

しました。遺伝子操作でこの分子をほとんど持たないマウスを

作り、人為的に関節炎を発症させると通常のマウスに比べて

軟骨が大きく損傷しました。この分子を増やすよう遺伝子操作

したマウスでは、軟骨の状態が良好でした。



 関節炎は、軟骨を構成するタンパク質が「ADAMTS5」

という酵素によって分解されるのが主な原因ですが、

miR140は、この酵素の働きを抑えていました。



 この分子をほとんど持たないマウスは、手足や尾が短くなり、

動物が誕生する「発生期」の骨格形成に重要な役割を果たすこと

も判明しました。



 RNAは通常、DNAの情報を写し取りタンパク質の合成を担い

ます。しかしマイクロRNAからタンパク質は合成されず、従来は

「がらくた」と考えられていたが、別の働きをすることが

分かってきました。



 間接的に関節炎を治療する。笑



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編集後記



 ハンチントン病などの神経難病は治療法が少なく、

治療に難渋します。またパーキンソン病の様に

薬はあっても段々薬が効かなくなったり(オン・オフ

現象)、薬に対する依存性がでてきたりして治療に

困ることが多い病気もあります。なんとか基礎医学

の実験から臨床に応用できる方策を早く見つけて

欲しいものです。慢性関節リウマチや変形性関節炎

では、関節にある軟骨の構造が壊れてしまうと、

炎症が収まっても、元にもどりません。早期治療により、

関節の破壊が防げれば、患者さんにとっては大きな

福音となるでしょう。笑



 早期治療を想記する。笑

  

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