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2012-03-22 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.334 平成21年4月29日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 老人斑が無くてもアルツハイマー病は発症する
2) 大人の脳の神経回路の形成、維持に必要な蛋白質
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 老人斑が無くてもアルツハイマー病は発症する
アルツハイマー病の特徴の一つとされる脳の
「老人斑(アミロイド斑)」がなくてもアルツハイマー病
の症状が起きることを、大阪市立大などの研究チームが
マウスで実証しました。老人斑を抑制するだけでは有効な
予防や治療にならない可能性があります。米神経科学会誌
(電子版)に掲載されました。
老人斑はアミロイドベータ(Aβ)というたんぱく質が
繊維状につながったもので、アルツハイマー病の原因の一つ
と考えられています。しかし、実際の患者さんの症状の重さ
と老人斑の数が比例しなかったり、老人斑がなくても発症
するケースがヒトで報告されていました。
富山貴美(とみやまたかみ)・大阪市立大准教授
(脳神経科学)らは、患者の脳では老人斑だけでなくAβの
分子が数個~数十個集まった「重合体」も蓄積されている
ことに着目しました。
そこで重合体はできるが老人斑はできない遺伝子改変マウス
を作製しました。8カ月ごろからAβの重合体が目立って増え
ました。それに伴い、記憶中枢である海馬では神経細胞が減少
し、平均寿命に近い24カ月(ヒトの80歳程度)では普通の
マウスの半分近くになりました。
プール内の休憩場所を覚えさせる記憶テストでも、8カ月の
遺伝子改変マウスは同月齢の普通のマウスが1週間程度で覚える
課題をこなせませんでした。チームはこうした症状から、
老人斑のないマウスもアルツハイマー病を発症したと結論づけ
ました。
八升の酒を飲んで、病気を発症した。笑
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2】 大人の脳の神経回路の形成、維持に必要な蛋白質
大人の成熟した脳で神経回路が形成、維持されるのに、
2種類のタンパク質の複合体が重要な役割を果たしている
ことをマウスの実験で解明したと、慶応大の柚崎通介
(ゆざき・みちすけ)教授(神経生理学)らが4月
16日付の米科学誌サイエンスに発表しました。
この複合体が、小脳で神経細胞の接着や成熟を促す
ことを確認しました。小脳の病気による運動障害の
新たな治療法開発につながるのではないかということ
です。
人間の脳は、1千億個を超える神経細胞が結合し
神経回路をつくっています。細胞と細胞のつなぎ目
である「シナプス」は発達に伴って形成され、大人
になってからも学習によって改変されるが、大人の
脳でシナプスがどのように形成、維持されるかは
よく分かっていませんでした。
柚崎教授らは大人のマウスを使った実験で、小脳に
ある顆粒(かりゅう)細胞とプルキンエ細胞という
2種類の神経細胞の間で、「Cbln1」と
「GluD2」という2種類のタンパク質が複合体を
形成し、細胞と細胞の間で「のり」のように働いて
接着を促していることを突き止めました。
これらに似たタンパク質は、記憶や学習に関係する
海馬や大脳皮質にもあり、柚崎教授は「将来は、
認知症や精神神経疾患の治療法開発にも役立つ
のではないか」と話しています。
のりのりの研究者がのりの研究を始めた。笑
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編集後記
認知症の発症を抑えるためには、老人斑だけではなく
β-アミロイドの重合体も抑える薬物が必要ということ
が分かりました。子供の神経回路の形成については、
様々な研究がなされ、それが教育に生かされるという
ことは充分にされてきたと思います。でも人間は子供
だけではありません。大人の神経回路の形成・維持に
ついてもこの研究を突破口として充分大人の教育に
生かされるよう努力して欲しい者です。
十分で充分という仕事はありません。笑
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