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2012-01-12 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.324 平成21年2月18日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1)  遺伝子型にあった正常値の必要性

2) 腎臓病の悪化のメカニズム





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 遺伝子型にあった正常値の必要性



 理化学研究所と東京大の研究チームが約1万5000人分

の遺伝子データをコンピューター解析したところ、血液検査

の結果に影響を及ぼす遺伝子が46種類も見つかりました。



 肝機能を示すγGTPやGOT、腎機能をみるBUNなど

7項目は、遺伝子の型によって数値が高くても健康だったり、

低くても病気の兆候があるなど、数値と健康状態の間に

個人差が大きく、「正常値」の基準を見直す必要があること

も判明しました。2月8日付の科学誌ネイチャー・

ジェネティクス電子版に発表しました。



 全国66か所の医療機関の協力で集めた約20万人分の

DNAや血液のうち1万4700人分について、遺伝子の

個人差と、血液検査20項目のデータ、実際の体の状態

との関連性を計算しました。



 その結果、心筋梗塞(こうそく)などの兆候を調べる

CKという検査項目の場合、正常値の上限は195(女性)

ですが、無関係と考えられていた免疫系の遺伝子の型によって、

191でも高すぎる人や、204でも正常といえる人がいる

ことが判明しました。こうした項目が7種類見つかり、

正確な診断に役立てるには、一人ひとりの遺伝子型に合った

正常値の設定が必要なことがわかりました。



 正常値は、遺伝子の性状できまる。笑



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2】 腎臓病の悪化のメカニズム



 腎臓で出ている特有のタンパク質が腎臓病を悪化させる

仕組みを、京都大の柳田素子(やなぎた・もとこ)講師

(腎臓病学)らの研究グループがマウス実験で突き止め、

米医学誌(電子版)に2月9日、発表しました。



 柳田講師は「このタンパク質の作用を抑える薬を開発

すれば、糖尿病性の腎症など、慢性腎臓病の治療に役立つ

可能性がある」と話しています。



 腎臓は主に、毛細血管が集まった糸球体と、尿細管から

なり、これらが障害を受けると機能が低下します。



 グループは、腎臓を保護、修復する体内の「BMP7」

という物質に結合して、その働きを抑制するタンパク質

「USAG-1」に注目しました。糸球体障害が進行し

腎不全になる先天性疾患のアルポート症候群のマウスでも、

このタンパク質ができないようにしたマウスを交配し

遺伝子改変マウスを作製すると、腎不全にならず、

生存率も高くなっていました。



 USAG-1は尿細管から出ており、BMP7を抑制する

結果、糸球体の障害を悪化させる分解酵素の働きが活発化

することも明らかにされました。



 腎臓は、血液をろ過して老廃物を排出します。腎臓病が

進行すると腎不全となり、人工透析や腎移植が必要になります。



 糸球体障害は、至急の措置が必要だ。笑



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編集後記



 遺伝子によって、検査値の読み方が違うのは、非常に

やっかいなことです。現在では、遺伝子の検査はまだ

コストが高く、血液検査をする人にすべて遺伝子検査

を義務づけることはできません。遺伝子検査のコスト

をうんと下げることによって、血液検査の精度を上げる

ようになることが望ましいと考えられます。腎臓病は

いままで透析しか、対処法はありませんでした。

しかし、専門医によると透析こそ腎臓病学の発展を

妨げる主たる要因であったそうです。しかし透析を

しなければ、すでに腎臓病にかかっている人は死んで

しまいます。早くこのジレンマを解決する方法が

でないかと気をもんでいましたが、今回の発見により

透析導入をしなくても生きられる道の可能性が示唆

されました。すでに腎不全で透析している人には

恩恵はないでしょうが、将来的に透析が必要な人が

少なくなれば、非常に喜ばしいことと思います。



 仁術は、腎術かも。笑



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